もっと『闇の左手』~ゲセンへの秘密の扉~

[SF]

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15件のファンレター

私の戯曲『闇の左手』の、原作小説(アーシュラ・K・ル=グウィン著)を紹介するコーナーです。
詳しくは「はじめに」をお読みください。
(2023.12.13) ただいま整理中です。一時的にリンク切れなどご不便をかけますが、しばらくお待ちいただければ幸いです。

ファンレター

旅の75日目

 まるで横でゲンリーが語ってくれているように、すんなりと頭に情景が浮かびます。このすーっと頭に入る、なんとも言えない滑りの心地よさが未村さんの訳の魅力ですね。あ、出版版では氷原に立ってから51日目になっていますが?(こればかりは原本に当たらないとわからない)。
 旅の終わりの数日間の描写が、また良いですね。疲労困憊でぼーっとしながらも頭に歓喜が満ちている、考える間もなく、文章から伝わってきました。目から心にダイレクト!
 未村さんの訳でまたこの世界の気がついていなかった側面を見せていただいています。ありがとうございます。

返信(1)

いつもありがとうございます^^ ご指摘のとおりです、55日ではなく51日目が正しいです。さっそく直しました。私にもゲンリーの眠さが伝染してしまっていたようです。(^^ゞ
情景が浮かぶと仰っていただくとほっとします。いつも、いったん訳してから、英語の原文を伏せて自分の日本語だけを読み返し、それで意味が通るか、イメージが浮かぶか確認しています。そのひと手間がけっこう大変なんです。
例えば「東へカーブする海岸線がはっきり前方に見えた」と訳した部分は、原文を直訳すると「海岸線の東に向かうカーブは明白で、僕らのまっすぐ前方にあった」となるんです。カーブが明白でまっすぐに前方? カーブがまっすぐ?? この「カーブがまっすぐ」には手こずり、ここだけでかなり長考しました。原文の英語はじつに明快にイメージを結ぶのですが、日本語に移そうとするとそのイメージがぶれてしまうんです。
けっきょく、「ストレートstraight」を「まっすぐ」ではなく、「途中にさえぎるものがなく」ととらえ、そこに「明白plain」の意味もふくみこんで「はっきり」と訳す、という形に落ちつきました。
なので「すーっと頭に入る」と言っていただくと本当に嬉しいです。私が自分の文章にガンガンかんなをかけてみがいて、できるだけ原文に近づけようとしている苦労がむくわれます。もちろん出版版にも素敵な言い回しはたくさんあって、さすがだな、ぴったりだなと思ったときは遠慮なく踏襲させていただいています。^^