バイブル・スタディ・コーヒー ~スラスラ読める! 聖書入門

作者 mika

[歴史]

298

157,960

79件のファンレター

バイブル・スタディの仲間たちの会話をちょっとだけ覗いてみてください。
寝ころんでスラスラ読める! 「物語」がわかれば、聖書は楽しい。
聖書を最初から最後まで読み通すのは大変です。途中でいやになってしまうことも珍しくないでしょう。
なんとなく難しそうでも、聖書のことばの向こうには、豊かな歴史と文化が広がっています。
どなたでも、実際に聖書を読んでみようというかたのお役に立てればうれしいです。


アイコンはTopeconHeroesダーヤマ様の「ダ鳥獣戯画」より使用させていただきました。

ファンレター

ロトの救出

西洋絵画でよく見るシーンはこれだったのか、という感覚で読ませて頂きました。
ロトはおじのアブラムにお世話になったにも関わらず、自分が先に豊かな緑の大地を取ってしまった。アブラムはそれでも彼を許し、窮地に陥った時に助けに行ってあげた……という解釈でよろしいでしょうか^^?
あと気づいたのは、私が「古代バビロニアの史実」だと思っていた古代の王権の話(歴史本のほか、博物館の資料解説などに載っていたもの)は、どうも旧約聖書をもとにして書かれたものだったらしいということ! もちろん考古学調査なども加味してあったとは思いますが、かなり聖書に依拠していたんだなあとしみじみ思いました。mikaさんの解説のお陰です。
アダムとエバ/カインとアベルの話も再読しました。すごく分かりやすくなっています!

返信(1)

あおぞらさん、お読みいただきありがとうございます。「アダムとエバ/カインとアベル」も再読してくださり、より「分かりやすくなった」と言っていただけて良かったです^^
前のレターで、レンブラントの「イサクの犠牲」にふれておられましたし、あおぞらさんは西洋美術がお好きなのですね!! 今回のお話だと、メルキゼデクの祝福を受けるアブラムをモチーフとした名画がたくさんあります。フランドル派のディリク・バウツによる作品は解説書に掲載されています。ルーベンスの「アブラハムとメルキゼデクの会合」(1626年)は、筋骨隆々たる武人としてアブラムが描かれており、面白いです。
アブラムはロトに対してすごく寛大で、彼をすごく大事にしていますよね。もしエジプトでサライが無法者のエジプト人に連れ去られてしまったとしたら、アブラムは手勢を率いて奪還に向かい、エジプト人を殺してでも取り返したでしょうか…? 実際のアブラムは妻を自ら宮廷に送り出しているので、サライのために命をかけて戦うとは思えないです。
14章の時点で、アブラム夫婦には子供が一人もいませんので、もしロトが独立せずにアブラムと一緒に暮らしつづけていたら、アブラムの家督相続人になっていたはずです。だから、アブラムにとってロトは妻より大事な存在だったのではないかと思います。結果的にロトが独立してしまい、捕虜となったロトをアブラムが取り戻して帰ってきた後も、ロトはアブラムと一緒にヘブロンへ移住することなく、そのままソドムに住むことを選んでいます。そのため、15章の時点でアブラムの家を継ぐのは「ダマスコのエリエゼル」だと記されているんです。エリエゼルはダマスコ人なので親族ではないですが、アブラムが信頼していたしもべだったようです。

古代の王たちの戦い、たしかに旧約聖書にはたくさん書かれていますね。旧約聖書は、アッシリアやバビロニアなどすでに滅亡した国について記録された貴重な文献ですよね。旧約を読むと、古代のカナン地方はバアル神信仰がすっごく栄えていて、唯一神信仰はきわめて少数派だったことが分かります。そんなバアル神信仰が今や完全に忘れ去られてしまいました。粘土板の楔形文字が解読されるようになったのは、19世紀以降です。もし旧約聖書がなければ、古代の王国や王たちの名前など、ごく一部の歴史家しか知らなかったでしょうね。隆盛を誇った大国が滅び、弱小国の末裔が生き残って、数千年後まで継続して記録を伝えつづけてきたのは、本当にすごいことだと思います。
次回は、満点の星空の下での神の約束の場面です。引き続きよろしくお願いいたします。