雪の熱

[その他]

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降りしきる雪の中、男は山小屋を訪ねる。中にいた女の正体は――。
※少しだけ改稿しました(20230201記)

ファンレター

「雪の記憶と人間の記憶」という表現がとても好きです。

 拝読しました。
 Twitterでのコメントに「どのジャンルにカテゴライズしたらいいのか」と書かれていましたが、読み手がどの角度からこの作品に触れるかでだいぶ印象の変わる作品だと感じます。
 読み始めた時のぼくの第一印象は雪女的な話なのかな、でした。
 終盤に向けては人魚姫的な話なのかな、となりました。
 ラストを読んで、「むむむ」となりました。このラストを儚く美しく、そして残酷に消滅した恋の物語ととらえるか、熱を奪うという女の特性を下地にした延長線上にある「水になっても意識がある(生きている)」ということの意味を考えてしまうかが、「異類間ロマンス(悲劇)」か「ホラー」かの分かれ目のように思います。
 どちらで受け取る読者が多いのか、ぼくとしても興味のあるところです。
 最初の物珍しさなのか毎年土産物まで用意して女をおとなった男の、これまた相手に飽きたのかぱったりと通わなくなる薄情さ、恋焦がれて男を探しに旅立ち、途中で「時間に限りができた」と気付いても死を厭わず邁進する女の執念、ラストの口腔内での邂逅。雪の屍を口にした男が平穏に生きながらえる未来より、そのまま南国の高温の下で冷えて死んでいってくれる方が、ぼくとしては描かれない先の結末としては美しいと感じます。

 作中の、「雪の記憶と人間の記憶」という部分がとても好きです。人ならざる者の感覚は人と同じではない。だからこそ、異類どうしのロマンスには悲劇が似合うとぼくは思います。

 最後になりますが、「そして、日の当たる時間がだんだん短くなり、極まってきた頃、男が現れた。」が、冒頭から登場していた男なのか、それとも彼の前に誰か別の男が現れたのか、読んでいて一瞬迷ってしまいました。
 「男」と固有名詞を避けている以上誤解を起こすことも想定内なのかもしれませんが、ひとこと加除する程度の修正でもう少し意味がすっきりするのではないかと思います。もしよかったら、文章を読み直してみてほしいです。

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