【2000字】春隣 ーはるとなりー

[歴史]

35

2,672

3件のファンレター

江戸時代中期の神田紺屋町。江戸小紋の染物職人・弥之助は、女弟子のおせんのことが気になって仕方がなくて……。
O.ヘンリー「忙しい株式仲買人のロマンス」の翻案です。

ファンレター

江戸小紋の良さ

江戸小紋の型染め職人を主人公にした短編、素晴らしかったです!
わたしは着物が好きで、ちょっとしたお出かけなどでよく着ていました。最近は外出もままならなくなり悲しいです…。本作を読んで、叔母からもらった江戸小紋が思い浮かびました。鮫小紋の赤で、遠目から見ると色無地に見えるんです。よく言えば上品で、悪く言えば地味なんですね。
作中の親方が、江戸小紋の地味さに美を見いだしていて、それが妻に迎えた女職人の美とも重なり、本当に素敵だと思いました。控えめでつつましいだけではなく、彼女自身が優れた職人というところも素敵です。
江戸小紋には欠かせない伊勢型紙。親方が自分で伊勢まで出向いて注文したと描写されていましたね。裃を染める伊勢型紙で、裃の小紋より極小の小紋を注文された伊勢の職人たちは、その要望をかなえるために四苦八苦しただろうなと想像がふくらみました。
また自由に出歩けるようになったら、江戸小紋を着て歩きたいと思いました。気持ちの良い作品を読ませていただき、ありがとうございます!

返信(1)

mikaさま
ちょうど評論と、ロシア文学の翻訳をちょっとずつ読ませて頂いているところです。すごいのを書かれる方がいる、と圧倒されました。ご訪問いただいて本当にうれしいです。ありがとうございます!
江戸小紋をお召しになったmikaさん、とっても素敵な方なんだろうなあと、この文章からも感じられました。着物文化が衰退していくのは切ないですね。私も箪笥の肥やしにせず、また着て歩こうと思います!