拡張妄想セミネール

妄想を具現化する〈拡張妄想力〉保持者を逮捕するため、GWP能力者対策課の、津島と谷崎は奔走する。一方、アイドルオタクのおれの〈顔〉が、消失した。

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ファルス去勢の物語。

実はこの小説は数年前、一万文字ジャストくらいで、迅速に書いて送ってくれ、というオーダーを受けて書いたものでした。構想から執筆まで一日で、仕上げました。しかも、三題噺のオーダーでもあって。なので、かなり削って、お題消化して出来上がった小説なのです。ネットスラングにもなっている「犯人はヤス」は、その通りだと思います。tanutanuさんがおっしゃる通りにこれは「認識」の話でもあり、もっと言うと、「承認」を巡るお話です。作中、ジャック・ラカンとフロイトの名前が出てきますが、彼らの言葉で言うと、この作品では、犯人の〈ファルス去勢〉が行われるお話、となるでしょうか。文字数の関係で描けませんでしたが、アイドルもまた、「承認」されたいという欲望を特殊なかたちで抱える主体でもあります。ネットはともすると相手との距離感がはかりづらく、また、ネットアイドルという距離感が従来と違う存在も多く、そこらへんも視野に入れて書いたつもりです。描ききれなかったのではありますが。お読みいただき、考察までしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。こういう場がなければ、舞台裏を話すこともなかったですし(笑)。

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