バイブル・スタディ・コーヒー ~スラスラ読める! 聖書入門

作者 mika

[歴史]

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バイブル・スタディの仲間たちの会話をちょっとだけ覗いてみてください。
寝ころんでスラスラ読める! 「物語」がわかれば、聖書は楽しい。
聖書を最初から最後まで読み通すのは大変です。途中でいやになってしまうことも珍しくないでしょう。
なんとなく難しそうでも、聖書のことばの向こうには、豊かな歴史と文化が広がっています。
どなたでも、実際に聖書を読んでみようというかたのお役に立てればうれしいです。


アイコンはTopeconHeroesダーヤマ様の「ダ鳥獣戯画」より使用させていただきました。

ファンレター

結婚という名の、人の移動

mikaさん、こんにちは。更新嬉しいです!
さて今回の29章ですが、「労役婚」「婚資」というキーワードに興味を持ちました。
本文でも触れられていますが、最近は「結納(金)」も廃れてきているなあ、と思います。
貴重な労働力を一人奪っていくのだから、という考え方に納得するとともに、
現代日本ではそう考える必要が無くなっているという意味かな、と考えました。
嫁入り道具というのもきっとそうなんでしょうね。方向は逆でしょうが。

ウイリアム・ダイスの絵は例の『名画が描く―』にも載っていて、鮮やかな色彩が気に入ってます。

有り難うございました!

返信(1)

村山さん、いつもお読みいただきありがとうございます。
ウィリアム・ダイスの絵は、ヤコブのひとめぼれ感とラケルの美しさが伝わってきて、良いですよね~^^ 同じ題材の名画の中では、いちばんの出来だと思います。
レアとラケルの姉妹を題材としたものでは、ラファエル前派のロセッティが「ダンテが見たラケルとレアの幻影」という絵を描いています。ロセッティはレアもラケルも美人さんに描いていますね。(聖書にはレアが美しいとは書いていないのですが、まあ姉妹なのでそんなに顔立ちに差はないのでは、とも思います)

婚資と労役婚に相関関係があるというのは、わたしも文献を読んでみて初めて知り、興味深いと思いました!
婚資は牧畜社会では一般的な風習なのだそうです。婚資は、女性の仕事と再生産能力に高い価値があることの表れです。
日本では江戸時代になると、下層階級まで結納金(「嫁取祝儀金」などと呼ばれたそうです)の風習が広まり、借金をしてまでも結納金を支払ったという記録が残っているそうで、驚きでした。
対照的に、花嫁側の親族が花婿側の親族に財を支払う「持参金」の風習は、女性の仕事が価値あるものとは認識されていないのです。共同体のなかの不要な食い扶持を別の共同体に押しつけることになるから、その負担に対する代償として花嫁側が花婿側に支払う、という意味なのだそうです。
最近の日本では、結納金も嫁入り道具も廃れているのは、おっしゃる通りですね。
婚資にせよ、持参金にせよ、メンバーを失う共同体と新しいメンバーを引き受ける共同体の間の緊張の緩和が目的です。それが必要ないということは、日本人にとって結婚が本当に個人と個人を結ぶものになって、共同体同士の財の交換という性格ではなくなったからでしょうね。

次回はレアとラケルが姉妹で妬み、争う姉妹対決のお話です。引き続きよろしくお願いいたします^^