ジークフリート・ノート ~白鳥とか黒鳥とか湖とか~

[恋愛・ラブコメ]

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『白鳥の湖』をもとにした青春ラブストーリーです。ハッピーエンドです。原作の登場人物によく似た若者たちの群像劇。『白鳥の湖』の楽譜が失われてしまったという設定のパラレルワールドで、彼らがその復活上演をめざします。おもにオーケストラの話ですが、最後にバレエも出てきます。
言いかえれば、イケメンだけどオタクでヘタレ、ハイスペック陰キャな王子さまが、女にも男にもモテまくり、トラブルに巻きこまれまくりつつ、愛と友情をとおして成長していく物語です。
【注】この架空の国には、同性間の恋愛に対する差別も、人種差別もありません。みんな自然に生きています。(そういうありかたに違和感を感じるかたには、面白くないかもしれません。かといって過激なBL性愛シーンもないので、そういうご期待にもお応えできません。でも、)私自身は、こんなほんわかハッピーな世界に住めたらいいなと思っています。

ファンレター

オルガンの描写がリアルで素晴らしいです

「白鳥の湖」を皆で演奏するという筋書き、とても素敵ですね! 以前、マリインスキー劇場で「白鳥の湖」全幕を観たのを思い出しました。たしかに、演出家によって、終わり方がいろいろありますよね。わたしが観たのは愛の勝利(悪魔を倒して、天の国で二人が永遠に愛し合う)でした。

ワーグナーを急に罵る場面、びっくりしました。ワーグナーのファンは熱狂的だから、大丈夫かなと思いましたが。ドイツ人にもアンチはやはりいるのですね?
ワーグナーの反ユダヤ主義を理由に嫌っているという話はよく聞きますが、作品が長いから嫌いというのはあまり聞いたことないなと思いました。
「バッハのファンは歩く」という台詞はなぜ?と思いましたが、笑ってしまいました。

作中で、オルガンを演奏する場面がとてもリアルで素晴らしいです! 実は、わたしは教会の礼拝でオルガン奏楽をしています。オーストリアとイタリアにオルガンの勉強で短期で行ったこともあり、いろいろな教会のオルガンを弾かせてもらいました。
アニメが人気の「ピアノの森」など、ピアノを題材とした作品は数多くありますが、オルガンを題材したものは読んだことがなくて、書いてほしいなぁと常々思っていました。作中に登場して、とてもうれしいです! 楽器の構造や音色の説明がすごくリアルです。
バッハの「おお人よ、汝の罪の大いなるを嘆け」は良い曲ですよね。わたしも以前、弾きましたよ。
作中の教会は、ウィーンの聖シュテファン大聖堂と、バッハゆかりのトーマス教会がモデルでしょうか。

ジークフリートはじめ登場人物はカトリックですよね。ドイツはルター派が多い印象でしたが、南ドイツ(バイエルン)はカトリック人口の方が多いですよね。だから、南ドイツの小国に設定したのかなと思いました。オーストリアでは、カトリック教会の方が会堂やオルガンの装飾が派手。天使やマリアや聖人たちの像や壁画も派手です。プロテスタント教会は装飾が全然無くて、オルガンも金ぴかではなく木の素材そのままだから、入ってすぐ分かります。イタリアはほぼカトリック教会なのですが、オーストリアやスイスとの国境近く(かつてオーストリア領だった)はプロテスタント教会があり、ドイツ語で礼拝していますよ。
作中の注釈は無い方がすっきりとして読みやすいと思いますが、ほかの読者さんは音楽用語の注釈があった方が分かりやすいのでしょうか。

返信(3)

コメントありがとうございます、しかもたくさん書いてくださってありがとうございます!(感涙)mikaさんもオルガニストでしたか! 私はけっきょく奏楽者にはなれませんでした。あ、私も「おお人よ」までは弾けました! いまはもう無理だと思うけど……。
この物語の舞台は、「三つの河の町」(ドライフリュッセシュタット)と呼ばれるパッサウという都市を想定した架空の国ですが、なかみは私が2年間過ごした(パッサウにほど近い)レーゲンスブルクをモデルにしています。聖シュテファンはパッサウの大聖堂からとりました。トーマスという名はなんとなく出てきて(笑)、たぶんお察しのとおりライプツィヒだと思いますけど、残念ながらライプツィヒに行ったことはなくて、レーゲンスブルクの聖ヨセフ教会がモデルです。ただしそこのマリアさまのハートに刺さっている矢は7本ではなくて1本です。

そうなのです、ピアノの話は多くて、しかもどれもコンクールの話ですよね。そしてじつは、日本ファンタジーノベル大賞から出た本に、パイプオルガンの話が二作あって、『ムジカ・マキーナ』(高野史緒)と『オルガニスト』(山之口洋)ですが、どちらも巨大オルガンが爆発炎上する話で、あとたしか名探偵コナンにもオルガンが爆発する話があって、パイプオルガンにあまりなじみのないかたが、オルガンってすぐ爆発するんだと思って怖がられたら困るなと。オルガンはふつうは爆発せず、とりあつかいに注意すればじゅうぶん安全なものだということを知っていただきたくて書いています(笑)。
本当は私は木管の閉管(ゲダクト)が死ぬほど好きだとか、セスキアルテラを聞くとトランスしそうになるとか、たまに鳥笛(水入れるやつ)装備のオルガンに会うと狂喜乱舞してしまうとか書きたいんですけど、本当にただのオタクになってしまうのでがまんしています(笑)。

ワーグナーファンに読まれたら炎上するでしょうか(笑)? ドイツ人全般のことはわかりません、私が好きでないだけです(笑)。チャイコフスキーさんはハンス・フォン・ビューローさんと仲良しだったらしく、さすがに、あれはないんじゃないのか、と、ひかえめに(彼らしく)発言しています。それとは別にチャイコさんのワーグナーの楽劇批判(じつに的を射た)もあるのですが、それはこのお話に関係ないので入れませんでした。ただ、ウィキペディアで書かれているように、《白鳥のテーマ》が《ローエングリンの禁問のテーマ》の踏襲かと言うと、私は批判だと思うんですね。そこだけは言っておきたいです。
バッハのファンは歩く、というのは、彼がリューベックまで歩いてブクステフーデに会いに行ったからなのですが、じつはパッサカリアへの伏線になってましたね。自分でも気づきませんでした(笑)。

バイエルンとオーストリアは本当に地続きですよね。レーゲンスから電車でインスブルックやザルツブルクに行ったときは、いつ国境を越えたのかぜんぜんわかりませんでした。そうそう、イタリアにも本当に近いです。逆にツアーで北ドイツを回ったときは、オランダや北欧に近いと思いました。ドイツは本当に南北でぜんぜん違いますね。でもレーゲンスブルクにもプロテスタントのすっきりした教会、いくつかあります。自然に共存していますよね。
注釈は、迷ったのですが、「まえがき」に書いた理由でつけてみています。どこまでつけたらいいかわからなくて、だんだんよけいなのが増えているかもしれません(笑)。先のほうで、「スタンディング・オベーション」につけようとして、それはさすがに思いとどまりました(笑)。
あともう少し続いて、スピンオフもあるので、今後もお読みいただけると嬉しいです。(^^)/
バッハの徒歩旅行! なるほど、得心しました。

オルガン愛好者としては、オルガンが爆発炎上する物語は読みたくないです。第一次、第二次大戦で失われた歴史的オルガンがどれだけ多いことか。
ゲダクトやロールフレーテ、トラヴェルソなどフルート系の音色、わたしも好きです。
クィンタデナを重ねてきらきらした音も美しいです。ドルツィアンやレガールのリード管の音もうっとりします。
あの鳥は楽しいですよね! 鐘があるオルガンも神々しくて良いです。
フランス様式のオルガンには、「天の声」や「人の声」という音色もあって、「天の声」は重ねると神秘的な響き。このネーミングがフランスらしいですよね。
ノベルデイズでまさかオルガン談議ができるとは思いもよりませんでした! この出会いに感謝です。
続きを読むのが楽しみです。
ヴォワ・セレステ?でしたか?私も一度か二度聞いたことがあります。本当に美しいですよね。私もここでオルガンのお話ができるとは思いませんでした。嬉しいです!
本当に仰るとおり、町も教会もオルガンもどれだけ破壊されて。(レーゲンスブルクは全ドイツで無傷で残ったたった三つの町の一つだそうです。)私も、北ドイツの旧独地域で、空のケースだけになったオルガンを見たときは泣きました。パイプが一本もないんですよ。供出しちゃってるんですよね、金属として。逆に、小さい村で、凄い歴史的オルガンの名器が大切に守られているのを見ても泣けました。あれ見ちゃったらオルガンの傷つく話なんて書けないです。ミステリーで、どんなにトリックが上手く出来ていても、そもそもオルガニストがみずからオルガンに爆薬仕掛けるってあり得ないと思いませんか。自分の生身に鉄を埋め込めますかというレベルです。
私の小説は爆発もないし、殺人もないし、王権争いも魔法もないし、ハーレムもなければ陰惨ないじめとかもありません。ストーリーのために人を動かすことはしていなくて、ただ、人が動くからストーリーになっています。そういう挑戦です。よかったらこれからもおつきあいください。(^^)/