取り残される不登校児

作者 りら熊々

[ノンフィクション]

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3件のファンレター

娘はかつて不登校児だった。社会から隔絶された場所で、息を潜めるようにして生きていたときがあった。不登校児が家にこもればこもるほど、友達は遠のき、コミュニケーション能力が低下して行く。そして、いつしか級友の影に怯えるようになった。
自立の道は遠く、果てしない。
不登校は、なぜ家族だけの問題として語られるのだろうか。
不登校の娘にとって、「自立」に必要なものとは何なのか。

ファンレター

可能性

作品読ませていただきました。
元中学校教師です。
不登校支援にも携わりました。なにもできませんでした。
まだまだ学校では、朝から学校に通える子が優、通えない子は劣のように、強と弱、陽と陰、正と負、勝と負と考える価値観が当たり前のように流れていると思います。
こんなに多様性を訴える時代にあって、不登校の問題も山積みなのに、根底にある価値観がなにも変わらないので、一歩も前に進んでいない現状を実感しました。
私も各学校に一人、不登校専門の教師の配置が必要だと強く感じました。
専門的な知識や情報収集、情報共有も必要です。
そして、定時制高校での日々のお話を読ませていただき、目から鱗がボロボロ落ちました。
新たな可能性を強く感じました。
今までは選択肢が少な過ぎました。
選択肢の一つとして、定時制高校があるのですね。
中学校も小学校も、なんらかの形で選択肢がもっと増えればばいいのに……。
「右向け右」と言われて、なにも考えずに右を向くのがいいなんていう時代は終わったと誰もが知っているのに、学校ではまだ、黙って右を向くのが良いとされる部分があると思います。
もちろん、そうではない学校も、先生もたくさんおられます。
でも、往々にしてそうなりがちなんだと思います。
「大多数と同じ」ことがよしとされ、そうでないものはお荷物だったり、邪魔者だったり。
声高には言わないけど、今の学校の現状ではそうなってしまいます。
でも、自分でもう少し選べたら、息をしやすくなるこどもが少しでも増えるんじゃないかと思います。
普通のふりして息を殺している子も、声を上げられるようになると思います。
スケートボードの堀米雄斗選手をテレビで見た時、彼がなにか、突破口を開いてくれたような気がしました。
特性に応じた選択肢が、もっとあっていい。
公教育を実現してきた歴史は本当に尊いけど、新しい時代に沿って、その形を柔軟に変える時が来ていると思います。
この作品が多くの人に読まれてほしいです。
おこがましく、長々と申し訳ございません。
力強いお話を、ありがとうございました。

返信(3)

ファンレターありがとうございます。元中学校の先生から共感いただけたこと、とても嬉しいです。
私自身、福祉畑の人間で、常から「教育」と「福祉」の間に隔たりを感じてしまうことがありました。文部科学省と厚生労働省の縦割り、とでも言うような。
だけど、ひとりの子どもがその両方を必要としていることは当たり前にあることで、だからこそ子どもに関わる人はみな、教育のことも福祉のことも理解しないといけないんだろうなと思っておりました。それで言うと私は教育のことを知らないし、学校の先生からすると、福祉の考え方は見慣れないものだろうし、子どもを取り巻く世界はまだまだ、発展途上なのだと思います。娘の高校生活を見て、定時制高校は、その隔たりを埋めるひとつの形になっているなぁと実感しました。
教育と福祉に限らず、しおむすびさんがおっしゃるように今世界は多様性で満ちていて、そのうちの何が可能性を広げるものなのかわからないですよね。ある、学校生活が困難な子どもがいたとして、何かひとつでも、その子にヒットするジャンルがあれば、未来は変わってくるのかなと思います。
何かそんな子どもに関わる活動ができたら…なんて漠然と思いつつ生きてます。全然、考えがまとまっているわけではないですが。
熱いご意見をありがとうございました。
ご返信ありがとうございます。
元教師として、不登校支援員の職に携わり、指導と支援は別物だと痛感しました。
途中までは、昔取った杵柄と言いますか、指導と同じやり方で、学校に来られなかった子が来てくれるようになったり、話をしなかった子が話してくれるようになったり、日に日に元気になる様子をうれしい気持ちで見ていました。
でも、その先はやっぱり専門知識がないと難しいと感じました。
本当にその子が必要とする支援がなんなのか、進路はどのような道があるのか、そのために必要な準備はなんなのか……。学ぶことが山ほどあると思いました。
私の後任に、お子さんの不登校を経験された方が来られました。
その方は私からすると本当の支援員でした。
知識も技術も思いも、私の比ではありませんでした。
起立性調節障害について知識のない教師に向け、研修会も開かれていました。
進路に関する知識も豊富でした。
やはり、当事者の保護者の方から学ばねばならないことが多いと思いました。
でもその方は、謙遜だと思いますが「私は先生の気持ちがわからないから……」と、私が教職経験者であることの強みもあると励ましてくださいました。
不登校支援員は、私の勤めた市では、賃金も少なく、立場も中途半端で、まだまだ支援員のボランティア精神に頼る部分が多々あります。
それでいいのか、疑問です。
なにがいいたいのかまとまりませんが、不登校がひとつの選択肢となり、こども達にも多様な学び方があってそれを堂々と選べる世の中になればいいなあと願っています。
Twitterの素敵な漫画やイラストも見せていただきました。
これからも素晴らしい活動をされますよう、応援しています。
さまざまな経験をされているのですね。不登校支援員…ほぼボランティアで活動されるのは素晴らしいことだと思います。
だけどやっぱり、きちんと予算を組んで、正職員とまでいかなくとも、せめて嘱託職員として雇って欲しいですよね。
その、不登校支援員の後任の方のおっしゃった「私には先生の気持ちがわからないから」と言うお言葉は、私自身も同じように思いました。教育の仕方を学んでいないので…。
きっと、視点の違う者同士がタッグを組んで取り組めば、選択肢が広がって行くんでしょうね。
私の拙い漫画まで読んでいただき、ありがとうございます。漫画は勉強しつつ描いてます。下手ですが、ゆっくりちょっとずつアップしていきます。応援嬉しいです。ありがとうございます。