【戯曲】闇の左手(ル=グウィン原作/オリジナル訳に基づく二人芝居)

[SF]

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宇宙のさいはて、極寒の惑星。スパイとみなされた地球からの使節は、ただ一人の理解者である現地人の宰相と、大氷原を横切って決死の逃避行を試みる。雪と氷に閉ざされた死の世界で二人を待ち受けるものとは……。
日本では『ゲド戦記』の原作者として知られるル=グウィンの、真の代表作『闇の左手』。その壮大な物語を、かぎりなくストイックな表現で二人芝居の朗読劇にしました。
未村明によるオリジナルの翻訳に基づいています。勝手な二次創作ではなく、正式に原作者の許可を得ています。生前に台本をお見せしたら、大変喜んでくださいました。
(人形は園英俊(そのひでとし)氏の作品です。)

(ここから小声)じつは、原作小説の既存の日本語訳には、訳し間違いが多々あります。少なくとも、固有名詞の発音は私の訳のほうが「正しい」です。ル=グウィンさんに(生前)直接お会いしてお訊きしました。ご本人による朗読テープも私は持っていて(残念ながら絶版)、随時確認しています。
例1.主人公二人のうち一人の名前は、「エストラヴェン」です。冒頭の「エ」にアクセントがあります。(ハ●カワ訳のように「えすとらーべん」ではありません。)
例2.もう一人の主人公ゲンリーの所属する惑星同盟の名前は、「エキュメン」です。同じく冒頭の「エ」にアクセントがあります。(ハ●カワ訳のように「えくーめん」ではありません。)
さらに詳しい話は別編「もっと『闇の左手』」をご覧ください。

ファンレター

2幕14場まで読了

 2幕に入って、あ、未村節だ(喜)と思われるフレーズが目立ってきました。なんだか台詞が生き生きしています。原作では日記の中で淡々と描かれる逃避行ですが、会話で読むと二人のこころの波立ちが際立ってドラマチックです。そして会話に時折挟まれる風景描写の絶妙なこと。ああ、最果ての浪漫だわ~~とうっとりです。
 第14場ではいまかいまかと待ち焦がれたあの「詩」がとうとう! 簡潔ですが二人の旅路を追いながら読むと感無量です。
 それにしてもあの東洋の娯楽がまさか出てくるとは! 原作でもびっくりしましたが、取り上げていただいてうれしいです。
 原作は章ごと交互に視点が変化しているのですが、読んでいるときには気にとめませんでした。今更ですが、ああ、こういう形式の戯曲にぴったりなんだ!と魅力を再発見しました。ロードノベル、センス オブ ジェンダー、ファーストコンタクト、様々な要素を内包するこの作品がまたどのように生まれ変わっていくのか楽しみにしています。

返信(1)

ありがとうございます!(^-^) 東洋の娯楽は「資料集」のほうですね。私も初めて読んだときびっくりしました。ル=グウィンさん、東アジアのことにもお詳しいんですよね。風景描写はどれも見事すぎて、厳選するのにすごく苦労しました。ミムラ節は、そうでしょうか(^^ゞ第三幕・四幕はさらに全開かもしれません。ご寛恕のほどを!<(_ _)>
仰るとおりさまざまな面で面白い小説で、しかも今回読み返したら、ビッグバンも大陸移動も地球温暖化も出てくるんですよね。1968年発表ですよ! まだ大陸移動は仮説だったはずです、いまはもう常識だけど。それにアンシブル(遠隔通信装置)とボイスライターって、まんまスマホじゃないですか。先見の明ありすぎですよね。アンビリーバボー。
でももっとアンビリーバボーなのは、アンシブルとボイスライターは実現したのに、性差別やヘイトはいまだになくなっていないということかも。アーシュラさん、どう思われていたでしょうね。(しみじみ)