お帰りなさい、キルケゴール

作者 かめ

[社会・思想]

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3件のファンレター

デンマークの思想家、セーレン・オービュエ・キルケゴール(1813ー1855年)について。
参考文献「キルケゴール著作集」(白水社)「世界の名著40 キルケゴール」(中央公論社)「世界の思想家15 キルケゴール」(平凡社)

ファンレター

10話まで拝読しました。

かめさん、こんにちは。目の具合はいかがですか?
『お帰りなさい、キルケゴール』は、かめさんの視点から見たキルケゴールの人生や思想を語る物語なのですね。
キルケゴールに「きみ」と呼びかける二人称小説という珍しい手法を使っているところが、面白いです!
かめさんとキルケゴールとの間に、時間や空間を超越した親密さがあるように感じられました。
かめさんが「きみは死んでいない」と語るところが、とてもすてきだなと思います。キルケゴールの著作を読むことをとおして、かめさんのなかで彼がたしかに生きているんだなと感じました!

キルケゴールはレギーネさんをとても愛していたのに自分から婚約破棄をして、彼女が別の男性と結婚した後も、変わらず彼女を愛し続けていて……。
うーん、かめさんは「きみはレギーネを愛するために、結婚をしなかったんじゃないか?」と問いかけておりましたが、いったいキルケゴールはなにがしたかったんでしょうね。
わたしだったら、愛しているなら、婚約破棄などせず、結婚すればいいのに、と思ってしまいます。

キルケゴールとレギーネさんのエピソードを読んで、カフカとフェリーツェ・バウアーさんの逸話を思い起こしました。
カフカも、婚約者のフェリーチェさんと二度も婚約解消しているんです。
執筆と家庭生活を両立できないと考えて婚約解消した後、同じ女性と二度目の婚約をするなんて、びっくりですよ。カフカはやはりずっと彼女を愛していたのでしょうね。二度目の婚約後、カフカは不幸にも結核になり、再び自分から婚約解消したのだそうです。
フェリーチェさんは、二度目の婚約解消後、別の男性と結婚してアメリカへ移住しましたが、カフカからもらった500通!ものラブレターを生涯捨てなかったそうで、今では貴重な史料となっています。

相思相愛だったレギーネさんは、キルケゴールから一方的に婚約破棄されて、どう思っていたのでしょうね。レギーネさんのその後の気持ちがどうだったのか、気になりました。
かめさんが語るキルケゴールのお話、つづきも楽しみにしております^^

返信(1)

mikaさん、こんばんは、レターをありがとうございます!
目のほうは、一進一退と申しますか、いいんだか悪いんだか、よくわからない状態です。
まぁ、今までの自分の生き方みたいなものを照らしてみると、自然に任せる、という感じです。どうもありがとうございます。

キルケゴール… もう40年、一緒に暮らしている(読んでいなかったけど)し、第一印象から僕が一方的にホレ込んだ著作家でした。
ですので、全然他人と思えず、ここに連載するにあたって、どんなふうに書こうか少し迷ったけれど、みぢかにいる人間として書きたくて、「きみ」になりました。

ほんとに、異国の人とか、むかしの人とか、思えないんですよね…。
「考える」ということをホントにやった人だと思うし、哲学とか学問的でない、専門的でないようなところが、たぶん「心のなか」を基本において、頭を経由して文章にトコトン書き込んだ、というところが、僕にとって最大の魅力なのかもしれません。

著作のほとんどを、レギーネに向かって書いていたフシもあって、自分の体験、彼にしかできなかった体験を、ずっとこだわって、本人が意識していたかどうか分からないけど普遍的なものとして分析、そして告白を続けていたように感じます。

ほんとにキルケゴールは、何がしたかったんでしょうね、笑。
キリスト教作家で、実存主義作家といわれる椎名麟三は、僕と同じで「レギーネを愛するゆえに婚約破棄をした」といっています。シンプルに、ごくごくシンプルに考えれば、「家と家」、結婚から派生するシガラミ、因襲的なものに捉われたくない、捉われるのが結婚で、それをしたらホントウにレギーネを愛せなくなる、と自己完結的に危機感をもったんじゃないか、と想像します。

だったら婚約するなよ、って思うけど、婚約したその夜に、もうキルケゴールは絶望したような気分になっていたそうで、実際に婚約しなければ、その気分になれなかっただろうと思います。

カフカも婚約破棄をしていたとは!
みんな、どうしちゃったんでしょうね(笑)
キルケゴールの影響をかなり受けていたそうだから、いや、本質的にキルケゴールと自分は似ている、と、カフカ自身いっていたそうなので、なんだかどうしようもなくなっちゃったんでしょうね、笑。
しかし500通のラブレター!
なんか、わかる気がします、笑。

カフカとキルケゴール、運命的にも似ていますね、死後に偶然、ノートに書かれた小説を友達が発見して出版に至ったとかいうカフカと、ドイツのどこかの大学だかでキルケゴールのことを講義か何かした教授によって、それがきっかけでデンマーク以外でも知られるようになったらしいキルケゴールと。

でも、やはり42歳までしか生きられないと思い込んだことが、あれだけの文量と、異常なほどの膨大な日記(らしいです)を生み出したんでしょうね。

レギーネ、かなり気の毒な感じですけど、けっこうタフというか気丈というか、気の強い女性だったらしいです。
たぶん、ぼくらが想像するほど、絶望しなかった…いや、どうだったんでしょう、すごく悲しんだけれど、しっかり立ち直った…というふうでもあるようです。うーん、どうだったんでしょう…
でもキルケゴールのことは理解していたはずだし、うーん、わかりません、笑。
でもすごい可愛い女性でした。

や、長くなってしまいました。
ほんとに心の温かさが、mikaさんのすごい武器です、レター、ほんとに嬉しかったです。
キリスト教のこと、もう一度バイブル・スタディ・コーヒーでほんとに勉強しようかな…(すみません、途中で挫折したままで、でも一番きっとわかりやすい)

キルケゴールが「ほんとうのキリスト教」にこだわった、その「ほんとう」が。
ほんとに、かなり命をかけるように当時のキリスト教を批判していたみたいで、確か「集団でキリスト者になってはならない。ひとりひとりがキリスト者であればいいのだ」みたいなことを彼は書いていたと思います。

いや、長くてすみません、ほんとにどうもありがとうございます!