東へ征(ゆ)け ―神武東征記―

[ファンタジー]

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日本がまだ倭(わ)と呼ばれていた時代、のちに神武天皇となる磐余彦(いわれひこ)が仲間とともに日向を出発し、多くの苦難を乗り越えてヤマトを平定する建国の物語。全11章の歴史冒険ロマン、青春群像劇です。

【あらすじ】
日向の王子磐余彦は、高千穂の森で巨大な人食い熊「黒鬼」を死闘の末に倒した。
黒鬼退治の祝宴が盛大に催される中、宴席を抜け出した磐余彦は師の塩土老翁を訪ねる。
かつて磐余彦は禁を破って長兄の五瀬命とともに本州に渡り、狩りをしたことがあった。その時出雲の王と呼ばれる長髄彦と出会い、弓矢を貰った。
黒鬼を倒すことができたのはその弓矢、天鹿児弓と天羽羽矢のお陰だった。
塩土老翁からヤマト行きを勧められた磐余彦は、三人の兄と仲間の日臣、来目、隼手らとともに船出する。
一行は日向灘を北上し、速吸之門で呉の軍師の子孫珍彦を訪ねる。珍彦は試しに方術を掛けるが、磐余彦には効かない。興味を持った珍彦は仲間に加わり、名を椎根津彦と改める。
関門海峡を越えた一行は九州の岡水門に着く。市場に行った来目と隼手が野盗の集団に襲われるところを、駆け付けた磐余彦と日臣が撃退する。
一行は瀬戸内海を東に進み、安芸を経て吉備の高島に到着する。吉備王の協力を得た一行は武器や食料を整え、船を建造する。だが吉備王の策略にかかり、磐余彦は五瀬命に総大将の座を譲ることになる。
日向の軍勢は河内の白肩津に上陸してヤマトを目指す。
だが孔舎衛坂でヤマト軍が待ち伏せており、五瀬命はヤマトの将軍となった長髄彦の毒矢を受けて重傷を負う。日向軍は退却を余儀なくされ、五瀬命は自らの過ちを悔いながら息絶える。
日向軍を率いた磐余彦は紀伊半島を船で回ろうとするが、暴風に遭い稲飯命と三毛入野命の二人の兄が波間に消える。
上陸した荒坂津でも女賊丹敷戸畔の計略に遭い、磐余彦は命の境をさまよう。しかし夢で天照大神の使者高倉下に神剣を授けられ、妖術を破る。
日向軍は熊野の山中で道に迷うが、ふたたび天照大神から八咫烏が遣わされ、これに導かれる。
宇陀に着いた磐余彦は豪族の兄猾と弟猾兄弟に協力を乞うが、兄猾が謀略を巡らせており、日臣改め道臣がこれを成敗する。
神託を受けた磐余彦は敵を誘い出して全滅させ、墨坂でも強敵兄磯城を破る。
ついにヤマト軍本隊と対峙した日向軍は、椎根津彦の巧みな策により敵を翻弄する。鏡で西日を反射させると、ヤマト軍は大混乱に陥る。その隙に磐余彦が矢を放ち、長髄彦の兄安日彦に傷を負わせる。
戦いの無意味さを悟った長髄彦は、磐余彦と密かに会って和解を約束する。
しかしヤマトに戻った直後に、長髄彦はヤマト王ニギハヤヒに裏切り者の汚名を着せられて殺される。
間もなくニギハヤヒが降伏して磐余彦はついにヤマトを平定する。
磐余彦は大王の位に就き、踏鞴五十鈴媛を后として迎える。橿原宮で即位を祝う宴が開かれ、仲間が息の合った来目舞を披露する。
磐余彦は皇統初代、神武天皇となる。


ファンレター

すごいです!

 初めまして。貴作を読ませていただき、ただ、ただ圧倒されています。惜しげも無くあふれ出す知識の奔流と、要所要所の息をのむ盛り上がり。隠れている時の屎尿の処理など(最初、ここを読んでおおっ!と思いました)、行動にともなう理由説明の明確さに、もうため息しか出ません。キャラクターも個性的で、楽しいです。(個人的には日臣様推しですが、来目さんといい、隼手さんといい、皆さんカラフルで素敵です)研究者であり、漫画の原作もされているとのこと……納得です。
 古代史はわりと好きなのですが、神話となると名前が多かったり回りくどかったりして、オオクニヌシの辺りで投げ出してしまい、この神武天皇のあたりは全く知らないと言って良いぐらいです。(頭の中でヤマトタケルとごちゃ混ぜになっています)この物語を読みながら英雄譚を楽しませていただきます。

返信(1)

お読みいただき、ありがとうございます。素晴らしい感想を寄せていただいたことに感激しております。
ちなみに大国主の物語は、機会があれば作品にしたいと思っています。
私もこれから不二原さんの作品を読ませていただきます。楽しみです!