青銀の風

[ファンタジー]

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122件のファンレター

「波間の真珠」と呼ばれるオアシスに作られた美の砦、美術工芸研鑽学院。そこは周りを砂漠によって囲まれ、他国の干渉を受けることなく自由な芸術が花開いていた。しかし砂漠を取り囲む3つの国の均衡は崩れ、美の砦にも暗雲がたちこめる。
 絵師を目指し砂漠を越えて美術工芸院にやってきた明朗快活な青年、麗射はこのオアシスで個性的な人々と出会いながらも、次第に砂漠を囲む国々の動乱に巻き込まれていく。
 
 魔法のないファンタジーです。2020年5月までセルバンテスで連載をしていました。これからこちらにお世話になります。よろしくお願いします。

ファンレター

鷲掴みにされました

「学院編」拝読いたしました。
正直、この作品、最初にあらすじを読ませていただいて、異世界学園物なのかな、と安易にも、気楽な気持ちで読みはじめたのですが、「牢獄編」で、あれ?と(いい意味で)予想を裏切られ、漸く「学園編」で麗射が青春を謳歌するのかな、と思いきや、またもや思いがけない展開に。
甘くない、本当に甘くないです。でもそこがいい、面白い。
「牢獄編」で、もう溢れんばかりのわくわく感が渦巻いていたのが、「学院編」を通して溢れ出て私の心を鷲掴みにしてしまいました。
何よりこの作品、すごく場景が絵として脳裏に浮かびやすいです。だからすごく没入しやすい。
煌びやかなオアシスの場景、美しくも厳しい砂漠の場景、そして圧倒的質感を持って迫ってくる絵画の数々。
夕陽が描いた絵の描写を読んだ際には、まるで以前自分がその絵を観たことがあるかのようにはっきりと脳裏に浮かび上がってきました。
これは本当に描写の妙でしょうね。大まか過ぎず、細か過ぎない絶妙な塩梅の描写。本当に感服いたしました。
そしてクライマックス。
砂漠という樹々や建物など寄る辺のない中での救出劇がいやが上にも緊迫感を押し上げていますね。
麗射の波州出身の面目躍如と言わんばかりの大活躍、浮上転のシーンは声を上げたくなるくらいにかっこよかったです。
あまりに没入しすぎて、湯舟にお湯を溜めながら読んでいたら、お湯、溢れちゃいました。
焦りました。
とにかく、溢れるほど面白くって、次の「煉州編」が更に楽しみです。
もう、読むというより、煉州に行ってくる、っていう気分です。
これからも楽しませてください。期待してます。
楽しい時間をありがとうございました。

返信(1)

 お読みいただき大変ありがとうございます。
 書いてる方まで気恥ずかしくなる純粋一直線な主人公に設定してしまったため、自分が予期しないようないろいろな軋轢や、呼び込まなくていい苦労をしてしまい「君、これからどうすんねん……」とぼやきながら書いています。甘くないところに着目していただきありがとうございます。これからもどんどん登場人物達に苦労をさせようと思っていますが、主人公が予期しなかった(こればっかり)キャラ変をしかけており、放置しておくと闇落ちをしそうで、「それもどうかと思うなあ」と頭を抱えています。
 今回、濁流のシーンで出てきた「浮上転」はお気づきかも知れませんが、カヌーのロールをこの世界風に表現してみました。転覆したカヌーをパドルと腰のひねりで起こす技は動画で何度見ても手品のようです。注目していただきありがとうございました。
 一時期、中東とか砂漠の文化に興味があり紀行文を読みあさりました。コロナ禍で海外に簡単に行けない今、頭の中には憧れが肥大化した砂漠があります。(実際にそこで過ごすのは大変そうですが)行ってみたい荒涼とした砂漠、そこで体験したい冒険を書きました。情景に共感していただきありがとうございます。
 小説を書くというのは、自分の頭の中にできた架空の世界への旅行だと思っています。創作の世界ならどこにだって行ける、素敵なことですね。また、現実では体験できない世界へ、ご一緒に旅行させていただければと思います。
 ご感想大変ありがとうございました。