バイブル・スタディ・コーヒー ~スラスラ読める! 聖書入門

作者 mika

[歴史]

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バイブル・スタディの仲間たちの会話をちょっとだけ覗いてみてください。
寝ころんでスラスラ読める! 「物語」がわかれば、聖書は楽しい。
聖書を最初から最後まで読み通すのは大変です。途中でいやになってしまうことも珍しくないでしょう。
なんとなく難しそうでも、聖書のことばの向こうには、豊かな歴史と文化が広がっています。
どなたでも、実際に聖書を読んでみようというかたのお役に立てればうれしいです。


アイコンはTopeconHeroesダーヤマ様の「ダ鳥獣戯画」より使用させていただきました。

ファンレター

アビメレクとの契約

アブラハムとアビメレクとの契約は、二つの民族同士の争いと見て良いのでしょうか?
砂漠に住んでいれば、井戸を掌握しているかどうかはすごく重要な気がします。敵を追い出すために井戸を埋める、という攻撃方法もあったのかなと、今回の記事を読んで思いました。
人間の契約では、事情がちょっとでも変われば変わってしまいますね。神様はイサクを見捨てずにいてくれて良かったです^^。

返信(1)

あおぞらさん、いつもお読みいただきありがとうございます。
アブラハムやイサクの時代、羊を飼う半遊牧民たちは飢饉によって牧草地帯が砂漠化すると、都市国家の支配領域に入り、羊を飼う許可を得なければいけなかったそうです。ペリシテ人の国を治める王アビメレクと、「寄留民」の代表にすぎないアブラハムとが対等な契約を結んだことは、当時としては驚くべきことだったのかもしれないですね!
互いの子孫を欺かず、友好的な態度とる、という契約内容は、創世記20章の出来事を経験して、アブラハムの信じる神をアビメレクが本当に畏れていたからではないか、と思います。
契約を破って、イサクを追い出したアビメレクは、最初のアビメレクと同一人物ではないと思うんです。王の称号も次世代に継承されていて、跡を継いだ新王は領内の寄留民がめざわりだったのかな、と想像します。
アブラハムがせっかく掘り当てた井戸をペリシテ人が埋めてしまうのは、びっくりですよね。
残念なことに、現代でもカナン地方は水資源をめぐる争いが続いています。イスラエルが建国された当時、パレスチナ住民の土地の強制収用と同時にヨルダン川西岸地区の水資源の支配が行われました。このあたりは地下水が豊富で、古くからパレスチナ住民は生活用水や農業用水として使っていたそうです。この地下水をイスラエルに送水するとともに、パレスチナ住民に対して、井戸の収用と新規井戸掘削の禁止を決めました。1967年以降から現在まで続く水分配量の格差は、イスラエルとパレスチナの和平プロセスにおける困難な問題の一つです。

次回はアブラム物語のクライマックス、イサクの犠牲のお話です。引き続きよろしくお願いいたします^^