コンプライアンス(課長島村耕作の決断)

作者 加藤猿実

[現代ドラマ・社会派]

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耕作は中規模の会社に務める法務課の課長として、企業のコンプライアンスのために尽くしてきた。
行きつけのカフェで耕作は笑顔が素敵な洋美と知り合い、親子ほど歳の離れた二人は恋に落ちる。しかし洋美には秘密が。やがてそれは二人の間に容易に越えられない困難として立ち塞がる。そんな中で耕作が下した決断は?

◆ 以前、2000字短編コンテストに応募し選外となった「コンプライアンス(島村耕作の憂鬱)」を1話めとして,その先を展開させた作品です。

ファンレター

はじめまして

御作【コンプライアンス】を拝読しました。

コンプライアンスって、結局は社則や法律だけでなく、それ以前の社会的な倫理観や道徳観から外れないことが問われていると思っているのですが、これって突き詰めると「世間体」なのかな? と思っています。

一方で、LGBTQやSDGsの話を出すまでもなく、恋愛も宗教も価値観も、多様性の認知と受容が求められているのも事実なので、世間体と多様性にギャップが生じると悲劇ですよね。

騙され、脅されてAVに出演してしまった過去を持つ女性との結婚はアウトで、それ(おそらく不法AV)を観た男性による、プライバシーを侵害して社内にリークした行為のコンプライアンスは問われない歪な図式は、いかにも日本の会社らしい話で、リアリティを感じました。
色々考えさせて頂きました。
ありがとうございました!

返信(1)

櫟 茉莉花さん、はじめまして。

読んでくださっただけでも有難いのに、ファンレターまで頂き、本当にありがとうございます。

主人公が勤める会社に、具体的なモデルがあるわけではないのですが、体面や体裁ばかりを繕う日本企業にありそうな話として書いてみました。

騙されてAVに出演した女性ですが……実は少なくないように思います。
同じような話は別の自分の小説にも登場しますが、以前オンラインチャットで相談を受けた方が当にそういう人でした。黙って結婚したものの罪の意識に苛まれ、旦那さんに打ち明けたら激怒されて離婚になった……という話が強烈に記憶に残ってしまったせいだと思います。
泣き寝入りどころか、被害者もバッシングされる日本の辛く悲しい現実をフィクションとしてでも書かずにいられませんでした。

この小説はテーマ自体が重いので、タイトルは軽く(笑)、ストーリーも出来るだけ明るく(おめでたく?)まとめました。バッドエンドも読むのは嫌いじゃないのですが、自分が書く小説だけは辛い終わり方をしたくなかったので。