眼中のひと

作者 桐乃桐子

[恋愛・ラブコメ]

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彼の愛はたぶんちょっとかなり重い。

第4回『NOVEL DAYS 課題文学賞』
「彼氏or彼女を溺愛している話」
優秀賞に選んでいただきました。

1/31 番外編「ただひとたびの」こちらに移動しました。

ファンレター

眼中のひと

先ず「眼中のひと」という、とても品格のあるタイトルが素敵です!

そして、内容の完成度がものすごくて、お見事の一言です‼
最初は「1万字強を1話で?!」とびっくりしたのですが、読み出したらあっという間に引き込まれて、一気読みでした。
確かに、話数を分けずに一話完結にした方が、構成的な緊密さが感じられて効果的だと思いました^^

繰り返される「可愛げがない。」というフレーズ。それはまるで、榛名ちゃんが自らにかけてしまった呪いのように感じられました。
そもそも「可愛げ」って何だろう、それは他人にとって都合のいいイメージに、自分を無理やり合わせることにすぎないのかもしれない。それなら「可愛げがない」と思われる方が、かえって自分らしく生きている証拠ではないか…などと、いろいろ考えさせられました。

そんな榛名姫の呪いを解いてくれた王子様が神蔵君になるわけですが……
描き方によっては、神蔵君の言動は、作品紹介にあるようにちょっと「重い」感じになりかねないと思うのですが、桐乃さんの手にかかると、決してそうはならないんですよね!
神蔵君の王子っぽくない(?)雰囲気と行動が、時に爆笑と、それから温かな微笑を誘います^^

神蔵君が王子っぽくない王子様なら、榛名ちゃんは、自分をお姫さまだと意識していないお姫さま……という感じでしょうか^^
特に神蔵君との会話の中で、榛名ちゃんがけっこう妄想乙女(?)であることがわかって、すっごく可愛かったです!

1話で1万字と言うと長い感じがしますが、角度を変えてみると、たった1万字で、何年にも渡る二人の恋愛を、周りの人びと――神蔵くんの元ヤンママや、愛想はないけど、人としての温かみのある中国人ご夫妻ら――まで含めて細やかに、きっちりと描き切ったとも言えますよね。

しかも、この作品のラストには、「男女の平等な恋愛とはどういう形をとるべきか」という現代的なテーマが凝縮されているように感じました。
傑作だと思います(*^^*)

それから、『ブックエンド』の第4話も拝読しました。
長田弘さん、未読でした。とっても素敵な詩ですね。
「この世はうつくしいと言えないかもしれない。」という言葉が、深く心に沁みました。
「うつくしいと言えない」からこそ、人はなんとかしてうつくしいものを紡いでいこうとするのだ、例えばこの詩のように……と思いました。
夜寝る前に、何度でも、ほろほろと読み返したくなる作品です。

それから、さりげなく挿入された、「マリみて」の「祥子は(さちこ)か、(しょうこ)か問題」‼
実はわたしも、「え、どっちだったっけ?」と何度も前の部分を見直した経験が……^^;

小説とエッセイ、たっぷりと桐乃ワールドに浸らせていただきました。
ありがとうございます(*^^*)

返信(1)

南ノさん、お読みくださりありがとうございます!
お返事が遅くなりまして申し訳ございません。
今月からシフトの関係で生活サイクルを少しずつ変えている最中でして、慣れるまでしばらくのあいだ不定期での出没になるかと思います。(もともとそんなかんじですが……汗)

『眼中のひと』タイトルに言及してくださってありがとうございます(*´-`)
これは実は久世光彦さんの『瀟々館日録』という作品のなかに出てくる章のタイトルでして、ややこしいのですが、その大本は小島征二郎氏の『眼中の人』という自伝的小説だそうです。本歌取りというのでしょうか。
『瀟々館日録』自体が夏目漱石氏の『吾輩は猫である』へのオマージュ作品でもあるので、とにかく情報量が多くて読み応えたっぷりの大好きな作品のひとつです。
「眼中の人」は「常に心のなかにあって、たとえ離れても懐かしく思う忘れがたい人」のような意味だそうで、とても心に残るフレーズでした。
今回、タイトルを考えるときに真っ先に浮かんだのがこの「眼中の人」で、これ以外にないと思い、そのまま使わせていただきました。

そして、この長いお話を一気読みしてくださったとのこと、感激です(泣)
「話数を分けずに一話完結にした方が、構成的な緊密さが感じられて効果的」といっていただけて、とてもうれしいです~(〃ω〃)
今回のこちらのコンテスト、章を分けての応募が可能かどうかわからなかったので、それもあって一気に書ききったという事情もありまして。文字数が多いので、読んでくださる方にとっては読みづらいのではないかと不安でしたが、南ノさんにそういっていただけてホッと胸を撫で下ろしました。
ありがとうございます!

「可愛げがない」という言葉は、おっしゃるとおり、榛名にとって自分への呪いのようなものだと思います。
そもそも「可愛げがない」って、同年代や目上のひとに対してはあまりいわないですよね。非常に上から目線の言葉だと思います。
「(自分への)媚び」や「隙」がない、といっているようにも聞こえて、自分がまったく相手にされないことへの負け惜しみのようにも思えます。
なので、南ノさんがお考えのように「『可愛げがない』と思われる方が、かえって自分らしく生きている証拠ではないか……」と、わたしもそう感じました。うれしいです(*^^*)

「王子っぽくない神蔵」と「お姫さまだと意識していないお姫さま」!
ときめくフレーズをありがとうございます(*´∇`*)
神蔵は、特別秀でた才能などはないけれど、とにかく一途でコツコツとまっとうにがんばる男の子、というイメージで書きました。こと榛名に関しては、一歩間違えるとちょっとヤバいヤツになりかねませんが(笑)

男女間でのこういう場面って、わりと男性側がぐいぐい押してきて、女性側はそれを受け入れる、みたいな流れがあるように思います。お互いに同意の上ならもちろん問題はないのですが、拒みにくい状況だったり、好きならあたりまえみたいな、有無をいわさぬ流れで事に至ってしまうのはただの暴力ですし、恋心をすり減らしてしまいます。
大事なものに触れるとき、汚れた手で無造作に掴んで乱雑に扱ったりはしませんよね。相手が好きなひとなら、なおさらのこと。
「『男女の平等な恋愛とはどういう形をとるべきか』という現代的なテーマ」という南ノさんのお言葉のお陰で、あ、そうか、自分は今そういうお話を書きたいんだな、と気づくことができました。
過分なお言葉の数々、いつもすごく励ましていただいています。本当にありがとうございます(*´ω`*)

『ブックエンド』のほうもご覧くださってありがとうございます!
きれいなものだけを見て生きていけたら、それはきっと幸せなのだろうと思うけれど、現実はそうはいきませんよね。
本当に、南ノさんのおっしゃるとおりだと思います。
泥のなかに咲く蓮の花のように、暗闇に差し込むひと筋の光のように。
うつくしいものに触れるのは、それ自体が生きる希望、生きる糧になるように思います。
長田弘さんの『一日の終わりの詩集』、柔らかな言葉と静寂に満ちたすてきな一冊です。

あっ、南ノさんもでしたか! 「祥子さま問題」!(笑)
実はわたし後半ずっと「しょうこさま」と脳内でふんわり変換しながら読んでいたので、今回あらためて確認して「さちこさまだったのか!」と愕然としました(笑)
ちなみに、なかなか素直になれない瞳子ちゃんと、胡散臭さ漂う柏木先輩が当時のわたしの推しでした(〃ω〃)

南ノさんのコンテスト応募作品、拝読しました。
リメイクされた二作品、元の作品との違いを思い浮かべながら読み進めるという、ファンならではの楽しみ方もできて、すてきです(*´ω`*)
またあらためてそちらにお邪魔させていただきます。
いつもありがとうございます!