見聞士

作者 唐乃 楓

[ファンタジー]

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見聞士のカイローは故郷を遠く離れ、世界中を旅して回っている。
行く先々で目にする珍しいものや、伝承などを書き残すのが彼の役目だ。
ある時、旅人たちは川の氾濫で渡河をあきらめ、山越えの廃道に踏み入った。
「この日ほど、命の危険を感じたことはない」と見聞士は自著に書き記す。


2021年3月 【2000字FT】に参加させていただいた作品です。
お気づきの方もおられると思いますが「黒衣のリラ」のスピンオフでもあります。
2022年1月 改稿版を投稿いたしました。
改稿にあたって工夫した点などを以下にまとめています。

・言葉に矢印の働きを持たせられるようにしました。たとえば、冒頭の風景の描写で「絨毯のような密林は、いまや夕暮れの山陰にあって」とありますが、「いまや」という言葉を入れることで、時間の経過や景色に変化があったことを示唆。また、旧版の「夜営の準備にかかった」を、改稿版では「夜営の準備を急いだ」とすることで、旅が予定通りに進んでいないことを匂わせています。
・カイローの出自や、ドラゴンの一撃で商い品が宙を舞う場面、影の主役ともいえる馬に関する描写を追加しました。
・漢々動詞(と勝手に呼んでいます)を減らして、音のよさや動きを重視しましたが、ここぞという所では、漢字が持つ字面の力に頼りました。
・ドラゴンに関しては、張り詰めた空気が伝わるよう心がけました。苛立ったり縄張りを守るために殺気立ったりする様子が伝わるでしょうか? さらに後日、蹴爪の表現も追加しています。
・カイローの描写「恐る恐る顔を上げると」を「むせ込みつつ、カイローが顔を上げると」に変更。感情については前後の部分からでも伝わると判断したので、外面的な動きに絞りました。

ファンレター

王道ファンタジー

のっけから映画のワンシーンのよう。見聞士が渋くてカッコいいですね。読んでいて、“その世界”を見聞士の目を通して見ているような感覚に。緻密に構築された世界観に圧倒されました。

返信(1)

ありがとうございます! 【2000字】が、こんなに難しいとは思っていませんでした。
ふだんは、強い言葉を、できるだけ使わないように心がけているのですが、文字数に限りがあるため、
どうしても漢字が増えてしまい、文章が硬くなった、と反省しています。
あと、オチが分かりにくいと思ったので、背骨が一本通るように、細かな修正をしました。
なんだか言い訳ばっかりしていますが、読んでいただけて本当に嬉しいです。
自分も「みんな大好き貴種流離譚」や「再雇用おじさん、JKに転生する」のような作品を書けたらなあ……
なんて、いつも思っています。