バイブル・スタディ・コーヒー ~スラスラ読める! 聖書入門

作者 mika

[歴史]

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バイブル・スタディの仲間たちの会話をちょっとだけ覗いてみてください。
寝ころんでスラスラ読める! 「物語」がわかれば、聖書は楽しい。
聖書を最初から最後まで読み通すのは大変です。途中でいやになってしまうことも珍しくないでしょう。
なんとなく難しそうでも、聖書のことばの向こうには、豊かな歴史と文化が広がっています。
どなたでも、実際に聖書を読んでみようというかたのお役に立てればうれしいです。


アイコンはTopeconHeroesダーヤマ様の「ダ鳥獣戯画」より使用させていただきました。

ファンレター

「創世記」アビメレクとの契約

井戸というのが、どれだけ重要だったのかよくわかるエピソードだと思いました。
前話「「創世記」イサクの誕生/ハガルとイシュマエルの追放」でも、mikaさんは、ハガルとイシュマエルの命を救ったのが井戸であることを紹介して下さいましたが、砂漠で生きる人々にとって、井戸とはそのまま生きることに直結していて、だから争いの原因にもなるし、井戸の所有権をめぐって契約書が交わされることにもなったわけですね。

そう言えば、村上春樹の作品に、メタファーとしてよく井戸のイメージが出てきますけど、村上春樹の作品が海外で受け入れられる背景には、聖書を通しての井戸のイメージが浸透していて、文学的な象徴して捉えられ易いのかな、と思いました^^
日本の伝統だと、井戸って「番町皿屋敷」のお菊みたいに、幽霊が出てくるイメージがあったりして…(笑)
逆に言うと、日本は古来、それだけ水資源が豊富な国だったと言えるのかもしれないですね!^^

返信(1)

南ノさん、お忙しい中で読んでくださりありがとうございます!
言われてみれば、村上春樹の作品には「井戸」のモチーフがたびたび登場しますね。「井戸の底へ降りる」、「井戸を掘り進める」といった表現は、自分の内面を深く掘り下げていく過程なのかな、と思います。
日本古来の井戸のイメージと言えば、小野篁の六道珍皇寺の井戸を降りて冥界へ行く伝説がありますね^^ 冥界下降譚を読むと、日本人は昔から井戸=異界の入口というイメージだったのでは、と思います。死者の世界への入口だから、井戸は幽霊譚と結びつきやすいのかも…?

『旧約聖書』には「井戸」が登場するお話がとても多いんです。ハガルの目が開かれ、水のある井戸を見つけて命が救われるエピソードは、神の愛に心から感動します。
井戸は人と人との出会いの場でもあったようで、アブラハムの息子イサクや孫ヤコブの結婚相手を見つけるのは、井戸のほとりなんですよ。アブラハムの孫ヤコブは井戸に水をくみにきたラケルの美しさにひとめぼれしてしまいます。
アブラハムが信頼する年寄りの家僕が、イサクのお嫁さんとなる娘が見つかるように井戸の傍らで祈ると、リベカという娘が水をくみにやってきます。家僕はリベカに「水を飲ませてください」と頼むと、リベカはすぐに彼に水を飲ませ、わざわざ水を何度もくみに行って、らくだたちにも水を飲ませました。これによって、イサクの妻にリベカを迎えることを決めます。
水を快く分けてくれるかどうかが人格の評価基準となるほど、水は重要だったのでしょうね。旅人や外国人が水場から追い出されることも実際にあったのだろうなと想像します。
旅に疲れたイエスが井戸端で、水をくみに来たサマリアの女性に「水を飲ませてください」と声をかけるエピソード(ヨハネ4:7)があります。サマリアの女性は「ユダヤ人のあなたがサマリアの女のわたしに、どうして水を飲ませてほしいと頼むのですか」と答えて、イエスの頼みを素気無く断ります。水を飲ませたリベカのお話とは対照的だなと思います。

次回はイサクの犠牲のお話です。引き続きよろしくお願いいたします^^