早退届

[創作論・評論]

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18件のファンレター

旅に出よう、僕を殺すための旅に。


*表紙はPicrewさんでつくりました。

ファンレター

15万PVおめでとうございます!

るるせさん、こんばんは。こちらでははじめましての桐乃です。
はじめてお手紙をお送りするのに、どの作品宛てにすれば良いのかと散々迷いましたが、ほぼ毎日のように拝見しているこちらに送らせていただくことにしました。
基本は宣伝用とのことですが、毎回ページを開いてみるまでどんな話題が飛び出すかわからないびっくり箱のようで、ひそかに楽しみにしている連載です(*´-`)

今までほかの作品やしゃべログを拝見してきて、るるせさんは本当にいろいろな経験をされてきて、それらを文学として昇華されているのがすごいなと思います。
普段の生活を送りながら、なかなかそこまで自分と向き合うことはできませんし、多くの場合、無意識のうちに自分を良く見せようとかそういう保身に走ってしまいがちなのに、潔いほどに赤裸々に語られていて。

今日の活動報告も拝見しましたが、わたしから見れば、るるせさんはじゅうぶんにお強い方だとお見受けします。
自分の人生に起きたことをだれかのせいにするのではなく自分で引き受けてそれに真っ向から立ち向かっておられる方を、だれが弱いなどというでしょう。
ぽっと出の桐乃ごときが偉そうなことをいって大変恐縮ですが、そう思います。
るるせさんはどなたにも分け隔てなく気さくにお声をかけていらして、優しい方だなと、遠目に見ながら思っておりました。わたしのなかでは優しさと強さは同義です。
なにがいいたいかといいますと、読者のひとりとして、るるせさんにもどうか〈しあわせな日常〉を送っていただきたいと願っております。たとえ今はまだ難しくても、いつかきっと。

いきなり長々とすみません。この手紙はどうぞお捨て置きくださいませ(>_<")

……あっ、あの、すみません、ひとつだけずっと気になっていることがありまして。(お捨て置きくださいといったそばから……)
「第110話 メフィスト」の回でかぷりこさんがおっしゃっていた「西之園萌絵の旅行鞄」というのはなんのお話でしたでしょうか?
森博嗣さんのシリーズ作品は最新のWWシリーズ以外ひととおり読んできたつもりなのですが、記憶にヒットするものがなくて。なにぶん記憶力が日々低下しているので、お聞きしたところで思い出せるかどうかも不安ですが、ずっと気になっていたので……すみません(ペコリ)

返信(2)

桐乃桐子さん、こちらでははじめまして。成瀬川るるせです。「西之園萌絵の旅行鞄」というのは、『すべてがFになる』で妃真加島のキャンプ場に着いたとき、萌絵はそれまでキャンプなどしたことがなかったので、普通は持ってこないようなものを旅行鞄に詰めて持ってきた、ということを指します。説明不足だったので説明すると、「萌え」って言葉、ありましたよね(今は「尊い」と呼称するらしいです)。あれ、KADOKAWA史観と講談社史観があって、萌えって言葉の起源が違うんです。講談社(と、いうよりもメフィスト)史観だと、西之園萌絵の名前から、「萌え」って言葉は生まれたとされるのです(ずっぎゃ〜ん!!)。今、ウィキペディア読んだのですが、評論家の岡田斗司夫(ガイナックスの前身、DAICONフィルムにいたのだから強い論者です)の説や、精神科医の斎藤環(今は僕の住んでる茨城にいます!!)の説は強いし、講談社でも「なかよし」起源なのが多いのですが、昔は「萌えの起源は西之園萌絵だろ!」と言われていました(と、いうのも、パソコン通信起源説があるのですが、桐乃さんはご存知の通り、森博嗣先生は元祖ギークなので、燃えから萌えにチェンジした頃を知っていて名前を付けた可能性があると僕は睨んでいる)。で、『S&Mシリーズ』の幕開けは、西之園萌絵の旅行鞄というネタから(本編の舞台的には)始まるのです。よって、萌えだけでなく、実質メフィスト賞は(第0回受賞者と呼ばれている京極夏彦先生を抜かせば)、西之園萌絵の旅行鞄から始まった、という僕の認識があるのです。
森博嗣先生は、作品だけでなく、『MORI LOG ACADEMY』、未読でしたらぜひお読みください。僕、成瀬川るるせって『珈琲フロート・ダークリー』っていうのやってますよね。あれは、森博嗣先生のブログ読んだらめちゃくちゃ厚いしひたすら書いていて感銘を受けたので僕も頑張っているところがあります(僕の場合、内容はないですけどね)。この『早退届』も、珈琲フロート・ダークリーと似て、ブログ感覚です。
しまった! 前置きに、と思って書いていたら長くなりすぎました!! お手紙ありがとうございます!! 嬉しいです!! 嬉しかったこと全部に対してひとつひとつ書いていきたいのですが、このレター、長さがどのくらい入るかわからないので、ひとまず筆を置きます。要するに、僕のブログ日記の元ネタは『浮遊工作室』及び『MORI LOG ACADEMY』なのです……。あと、『喜嶋先生の静かな世界』は最高ですので、ぜひぜひ。
るるせさん、たびたび失礼いたします。
ご丁寧なご返信を頂戴しましてありがとうございます!

ああ、なるほど! そういうことでしたか。腑に落ちました。スッキリ。西之園さん、キャンプもはじめてでしたし焼きそばも食べたことがないと発言して浜中先輩をドン引きさせていましたよね(笑)
「萌え」の語源に西之園さんが関係しているという説は寡聞にして存じませんでした。驚きです。
そういえば森博嗣先生の著書に『もえない』という作品がありましたね。内容からするとそちらは「萌えない」ではなく「燃えない」の意味だと解釈しておりますが。
岡田斗司夫さん、ズバズバとものをおっしゃるところが桐乃は好きです。ご自身を「サイコパス」と公言しつつも、言葉の端々に「どうしようもない人間たちへの慈愛」のようなものを感じられて、その懐の深さにとても好感を覚えます。
『S&Mシリーズ』の一作めを『すべてがFになる』にしましょうと提案された当時の編集さんは、いま思えばものすごい慧眼の持ち主でいらっしゃいますね。

るるせさんの『珈琲フロート・ダークリー』の元になったのが森先生の『MORI LOG ACADEMY』だというお話を伺ってびっくりしました。『MORI LOG ACADEMY』全巻購入しました。引っ越しの際に本はほとんど手放してしまったので、残念ながら今はもう手許にありませんが。そうそうたる漫画家さんたちが表紙をお描きになっていましたよね。超豪華。
……ああ、では、わたしがるるせさんのしゃべログに吸い寄せられていったのは至極当然のことだったんだなと、なんだかすごく納得しました。
るるせさんといい、森先生といい、あれほどの大量の文章を長年お書きになっても中身の濃度が薄れることがない、というのは本当に驚くべきことだと思います。
確か、村上龍さんがエッセイかなにかでおっしゃっていたと記憶しておりますが、ひとは、たとえば自分が小説で書きたいことなどを事前に言葉にしてだれかに伝えてしまうと、それでもう頭が満足してしまって創作の熱意が削がれる、みたいなことを書かれていて、わたしはどちらかというとこのタイプなので、るるせさんのようにご自分のなかにある言葉をずっと発信しながら走り続けられる方を見ると、尊敬しかありません。

『喜嶋先生の静かな世界』良いですよね。わたしは『探偵伯爵と僕』『神様が殺してくれる』『相田家のグッドバイ』のあたりが好きで、『スカイ・クロラ』が押井守監督によりアニメ映画化されたときは、出不精の桐乃が珍しく何度も映画館に通っては繰り返し鑑賞したものです。森先生の小説はおそらくほとんど既読だと思います。わたしのなかで別格の作家さんのひとりです(*´ω`*)

長々とすみません。今まで森博嗣さんのお話ができる方とお目にかかる(という表現で合っているのかわかりませんが……)機会はなかなかなかったので、つい興奮してしまいました。
「西之園萌絵の鞄」について、とてもわかりやすくご丁寧に教えてくださってありがとうございます! 心から感謝いたします(ペコリ)

あ、『早退届』の表紙の写真、るるせさんお住まいの県の県庁からの眺望だったのですね。noteのほうで過去の写真を拝見していて、こちらの写真を見つけました。
これからも楽しみに拝読したいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします(*´∇`*)