あいつのGTサンパチ~若者たちの短編集

[学園・青春]

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みんなもがいていた青春!

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砂乃路傍様

 サンパチの短編集、望外のお褒めを頂き光栄です。
 ところで「読者に寄り添う」ということをお書きになっておられ、以前にも類似した話をされておられ、それから短編の「異世界転生」という作品も読ませていただき、そういう諸々のことからふと私は、「マーケットイン」「プロダクトアウト」という概念を連想しました。読者に寄り添う、その寄り添い方の問題です。
 小説を書くということは、あたかもメーカーの開発者が商品開発を行うことと通ずるものがあると思います。そして「マーケットイン」とは市場調査や営業の要望を吸い上げて、「売れる」商品を狙って作る。まさにトヨタ流の手法だと思います。これは高い確率でヒット作を作れる一方で、「名作」は出来にくいと思います。
 一方「プロダクトアウト」とは、「こんな商品が作りたかった」という開発者の夢を実現したような商品です。そして往々にしてずっこけて、大失敗しますが、時々、まさに画期的な商品を生み出します。ホンダはときどき作っていますよね。だけどその陰でホンダは「こんなん売れる訳ねえだろ!」という駄作もたくさん生み出しています。
 それからカシオが開発した「デジカメ」も、豪快な「プロダクトアウト」だったんですよね。「そんなものが売れるわけない」という社内の冷たい視線を浴びながら、有志が細々と開発していたそうです。今では考えられないことです。
 映画のバックトゥーザフューチャーもプロダクトアウトの典型だと思います。「両親と同じ年齢になれたらどうなるか」という発想からそれを膨らませてシナリオを書いて、だけどほとんどの映画会社から「ヒットするはずない」と断られたみたいですね。それでもユニバーサルが少ない予算でOKを出し、そしてあの作品が出来たんですよね。
 それで、やはり小説は「プロダクトアウト」がいいのかなと思う訳です。私なんか、ランキングの上位作品を参考にして・・・みたいなことは好きじゃないし。
 だけど「読みやすい文章」とか「分かりやすいストーリー展開」は必要でしょうね。だから私は自作品を推敲するとき、自分を「読書力の低い読者」に設定しておいて、ん? と思う場所を徹底的につぶしていきます。ストーリーが分かりにくい部分はないか、もしあったなら、これでもかと言うほど「分かりやすく」書き直します。そしてすいすい読んでもらえる文章を目指す訳です。
 随分長たらしい話をしましたが、それが私なりの「読者に寄り添う」ということですかね。ご参考までに。だけどあまり読者に迎合してはだめだと思いますよ。ストーリーは思い切り「我が道を行く」でいいじゃないですか。だから私はもちろん、ストーリーは思い切り「プロダクトアウト」で書きますけどね。
 それと「似た者どうし」、ラストが書けたのなら、それに向かって爆走されるといいでしょう。豪快にプロダクトアウトなストーリーで突っ走ってくださいな。
 それではこのへんで。星こうすけ拝

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