嬰天狩り(短編小説)

[ファンタジー]

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「汝の劈開を示せ!」嬰天にクサビが嬰喰を捻り込む!

【あらすじ】全内容(ネタバレ注意!)
 流星が各地に降り注いだ「大降星」後の平安中期。関東では人の心を核にその情念を餌として結晶化する怪物、嬰天(えいてん)が各地に出現していた。
 関東(かんとう)検非違使所(けびいしどころ)で走り隷(しもべ)の任に就くクサビは、嬰喰使(えばみし)の女である。嬰喰使とは身中に嬰天の一種の嬰喰(えばみ)を飼い、それに他の嬰天を喰らわせて解除(げじょ)する者たちのことだ。
 クサビはある日の嬰天狩りの任の途次、野盗に惨殺された旅の一行の中から童女を救いユウヅツと名付けて養女とする。
 ユウヅツはクサビの下で美しく育ち、嬰天狩りの手助けもするようにもなって、クサビが忘れかけていた「人の生活」を思い出させるよすがとなってゆく。
 ところが、ある嬰天狩りの時にそんなユウヅツも嬰喰を身中に飼うことが知れ、クサビは己の宿世を思い知らされるのだった。
 クサビが一人嬰天狩りに遠征に出た際、検非違使の長官にユウヅツが連れ去られる。クサビが検非違使所に戻ったところ長官の策謀で殺害されかけるも、嬰喰み仲間のスハエによって救い出されて、検非違使の仲間たちと共に西に逃れた長官とユウヅツを追う。
 途中足柄山中でユウヅツに対面するが、自分達は前世に親のクサビの手で死罪になったクサビの実の娘夫婦で、ユウヅツの本当の目的は、亡者のまま嬰天に憑かれた夫(長官)をあの世に連れ還ることだと語って、闇の中に消える。
 最後クサビは不死山中で娘夫婦と対峙する。悶死寸前の娘に過去世で差し伸べられなかった手をクサビは差し出すが、クサビの放った嬰喰の勢いは止められず、娘夫婦は不死の大噴火の中、ともにクサビの手によって解除されてしまう。そしてクサビもまた自らを嬰喰に解除させて不死の山の煙となるのだった。

ファンレター

面白いです

 何やら深い謎が秘められている感じがするハードな平安ファンタジー! ちょっとのぞいてみようかなと思っていたら公開分全部読んでしまいました。使われている語句が難解ですが、それすらもこのファンタジーの世界に引きずり込む罠かもと思わせるほど重厚で魅力的な作り。ワクワクして続きを待ちます。

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