オペラを見て死ね!

[創作論・評論]

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67件のファンレター

何となく敷居の高い、オペラの世界。だけど分かるようになってくると、断然面白いのです!
というわけでチャットノベルで「物語」を、引用した動画で「歌や音楽」をお伝えする試みに挑戦します。芸術だからとかしこまらず、ツッコミ満載で楽しんでみるのもアリではないでしょうか。
まずは親しみやすく、上演頻度の高い演目から。あくまで一ファンの立場からのご紹介で、内容は初心者向けです。よろしくお願いします。

表紙写真:パリ・オペラ座(ガルニエ宮)

ファンレター

カルメン、完結までおつかれさまでした!

最新話まで拝読しました。第4幕のカルメンとホセの息つまる攻防、とっても見ごたえがありました^^
ホセが「君が望むなら盗賊団に残る、君の望みをすべて…」と歌いながら、十字架を捨ててしまうのが印象的でした。彼は犯罪者になっても、どこかに良心が残っていたから、歌い始めでは十字架をかけていたのでしょうね。十字架を捨てるということは、神とのつながり、社会とのつながりを自分から断ち切ることです。彼は老母やミカエラや自分自身でさえも、全て投げ捨ててしまって、カルメンだけを求めたのだろうと思います。それほど求めた彼女に拒絶されてしまっては、殺すしかないのか…。やりきれないですね。
サバ君の妄想二次創作じゃないけれど、ミカエラには幸せになってほしい。彼女はたとえホセが刑死となっても、ホセの老母を捨てたりせず、献身的に介護し続けるのでしょうね。

ニーチェは『カルメン』を20回も観に行ったとは、よほどのお気に入りだったんですね!? カルメンはたしかに「自由に生きて、自由に死ぬ」と歌っていますが、彼女の言う「自由」は他者に配慮しない、自分の欲望に忠実ということなので、現実には迷惑きわまりないなと思います。カルメンもエスカミーリョもホセも、自分の欲望のままに突っ走っているように見えますね。
ホセは最終的に相手を殺してしまったほど一方的に自分の欲望を押しつけているし。カルメンとエスカミーリョの間も、お互いに信頼し、尊重し合う関係ではないですよね。エスカミーリョにとってカルメンはトロフィーワイフで、カルメンにとっても彼はトロフィーハズバンドなのでは、と感じました。個々人が欲望に忠実になることが「自由」な社会だったら、万人の万人に対する闘争、エゴがむきだしの無法社会になってしまいそうです。ちなみにアメリカに実際にある極端な自由主義の政党(リバタリアン党)は、国家によるあらゆる規制の撤廃を標榜しているんですよ。国は司法権を持たず、軍隊も警察も廃止。現行法で罪とされる規制をなくすので、麻薬もヘイトクライムも近親婚も児童婚も一夫多妻もOK。こういう主張が選挙で一定の支持を集めるのが驚きです。

おまけのみんなの歌、「小さな木の実」は初めて聞きました♪ クラシックの名曲に日本語の歌詞をつけたものって、原曲とはまたちがった魅力がありますね~! クラシック由来のみんなの歌では、ヴィヴァルディの『四季』から「冬」の第2楽章に歌詞をつけた、「白い道」という歌が好きです。この「白い道」は、子供の頃に皆で合唱したので、わたしにとって懐かしい曲です^^
『カルメン』、最初から最後まで動画も交えてわかりやすく紹介してくださり、ありがとうございました! 次の「椿姫」編も楽しみにしていますね^^

返信(1)

うわ~、mikaさん、フランス語の歌詞がお分かりなのですね! さすがです。
そして十字架の件。キリスト教徒でなければなかなか読み解けない部分だと思います。私はこの動画のホセがなぜ十字を切ってからカルメンに向き合うのか、あまりピンと来ていませんでした。なるほど、「全て」を賭けていたからこその所作だったんですね。教えて下さって感謝です!
私もミカエラは、ホセの老母を最後まで優しく看取ったと思います。このラストシーンの時点で老母が生きていたかどうかは不明ですが、ミカエラの心映えは変わらなかっただろうと。
それに引き換え、後の三人ときたら(笑)! mikaさんの仰る通り、カルメンのみならずホセもエスカミーリョも自分の欲望一直線ですよ。こういう人ばかりの世の中になったら、何でもありの無法地帯ですよね。許してはならない自由もあるはずです。
しかしアメリカにはそんな恐ろしい政党があるんですか!? ぞっとする話ですね。
「白い道」、知らなかったのですが聞いてみました! こんな歌があったとは。素晴らしい歌だと思います。私は涙もろいので、すぐに泣いてしまいました(笑)。これも海野洋司さんの作詞なんですね。こちらも教えて下さってありがとうございました!