三奈乃の読書日記

[創作論・評論]

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わたし――南ノ三奈乃が読んで面白かったと思う本を紹介していきたいと思います。
純文学多めになるかな? ……と思っていたのですが、エンタメもマンガも……もうなんでもありになってきました!
※表紙イラスト/ノーコピーライトガール

ファンレター

救われました

 「与太郎戦記」の回、拝読しました。壮絶な体験をされて重厚な噺を得意と――ではなくて、その影を引きずらず、春風のように軽やかな落語(それも新作!)を志向されたところに何だかこの方の凄みを感じます。Wikiを見てみると落語を好む女子大生から親衛隊の「落語ギャルズ」が結成されたとか。新しい風を先読みできる面白い人だったんだろうな、と感じます。南ノさんが抜粋してくださったいろいろな場面を読むと、客観的に自分を見ていた方なのかなと推察され、是非そういった方が書かれた戦中記を読んでみたいと思いました。
 でも、今回一番ぐっと来たのは「戦争に敗れた故国に立った柳昇——」からの部分でした。私もこの春からの他国の戦争と、今の日本の置かれている地政学的なリスクを考え,同じように暗澹たる気持ちになりました。今まで「書く」ことが好きで、日本文化や日本語の表現で何かを創作していくことに生きる意味を感じてきたのに、日本文化が強制的に無くなってしまったら、と思うと絶望に苛まれて……。いつか自分がいなくなってもネットのどこかや、見ず知らずの方の記憶のほんの片隅にでも「こんな話読んだことがあったな」とか、が残れば生きてきた意味があるのかな、と思っていたのですが。(実際には何も残ら無くても、そういった希望が残されていれば満足なのです)でも、南ノさんが抜粋してくださった文章を読んで勇気が出ました。本のご紹介をいただいて、これほどまでに救われた気になったのは初めてです。そう言えば今回の事で、私は自分が西洋や中東の芸術と文化に傾倒しているとばかり思っていたのですが、実はこんなにも日本語と日本文化が大好きなんだと再発見しました。
 ありがとうございました!

返信(1)

不二原さん、お読みいただきありがとうございます!
こんなにご丁寧に読んで下さって、本当にお礼の言葉もありません!(*^^*)

春風亭柳昇さんのイメージは重厚さや厳めしさとは無縁で……「落語ギャルズ」は私も知らなかったんですけれど(わざわざwikiで調べて下さってありがとうございます!)、「昭和の男」的な押さえつけるような雰囲気がない、かわいいお爺ちゃんという感じでしたから、「さもありなん」と思います(笑)

落語界の重鎮となった晩年まで一貫してそういうスタイルを貫いたというところに、不二原さんの仰るように私も一種の「凄み」を感じます……。

ニュースを見る度に重苦しい時代だなあ…と思ってしまいますし、自分の生活がいつ根底から覆ってしまうかわからないという不安もあったり……でも、だからこそなのか、これだけたくさんの日本語の物語(紙の小説、ネット小説、マンガなどを問わず)を読むことは、コロナ以前の私の人生の中にはなかったような気もしています……。

そんな中で出会った、不二原さんの綴られた物語もまた、私の中にしっかりと残っていますよ~‼(*^^*)

辺境言語である日本語はいずれ滅びてゆく運命だ…という人もいますけれど、私も不二原さんと同じく日本語や日本文化が大好きで……だから、最後まで私の愛する日本語の物語を読み続けたいと思います!