[ファンタジー]

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7件のファンレター

認知症の母を施設に預けた高子は度重なる呼び出しに疲れ果てていた。
コロナ前に書いた小説です。コロナ禍の今考えると、例え呼び出されて大変だったとしても、肉親に会えるのは幸せなのかな。(小説家になろうにも掲載あり)

ファンレター

温かな温度

私事ですが、父親の看取りに消化不良感があったため、こういったテーマに向き合うことがちょっと辛くて感想を棚上げしていました。(でもこの作品はずっと心に引っかかっていました)
最近になって、満点の介護や看取りは存在しないだろう、後は遺族が各自気持ちの落としどころを見つけて、「時薬」に頼ればいい、と思うようになりまして……。
そして改めて拝読しました。作品から伝わってくる思いやり。主人公は自分の身代わりを作る思いやり、そしてそれに騙されてあげる母の思いやり。
深いラストでした。「手」を介して気持ちを通わせ、感謝が伝わること、役目を終えて(魂が抜けたように)冷えていくこと……。「温度」が重要なモチーフになっていると感じました。
短いのに読みごたえがあり、不二原さんらしい明日へ向かう前向きさと光を感じる作品、素直に感動しました!

返信(1)

 お読みいただきありがとうございました。辛い思いをさせてしまったのではないでしょうか、すみません。
「温度」、確かに。書いた本人がご指摘をいただくまで気がついていませんでしたが、人と人がふれあうときに伝わる温度、そういったものが高齢になって聴力や視力が不自由になった時に唯一、相手に思いを伝える手段ですよね。無意識のうちにそんなものも書きたかったのかもしれません。(←後付け大将~~)
 育児は先に発展が見えるから辛くても希望があるけど、介護はこれから人生のステージを閉じていく場なので、さみしさがつきまといますね。そしてこの世から去られた後には生前より沢山思いが湧き上がってきますよね。私も、介護についてはいろいろ後ろ向きであったこともあり、もっと親を手伝えば良かったと後悔が多いです。「手」を書いたのは、贖罪の気持ちというか、自分の心を落ち着かせるためだったのかもしれません。
 私たちは私たちを生み出した先祖代々の思いを繋ぎながら、次世代(それは必ずしも自分の血縁でなくても)にいろいろなものを受け渡していくのが供養なのかなと最近ぼんやり考えることがあります。
 ご感想をいただき大変ありがとうございました。