声の記憶

[ノンフィクション]

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14件のファンレター

コロナ禍で引きこもり生活を送っていたら、ふと子供の頃の記憶が蘇りました。
それは世界の物語が吹き込まれたLPレコード。
錚々たる朗読者による、夢のようなレコードたちの〈声〉の記憶……

ファンレター

長靴をはいた猫&三匹のやぎ

北林谷栄さんと熊倉一雄さん、南ノさんのおかげで名前を覚えましたよ! 『となりのトトロ』のおばあちゃん役だったとは。ディズニーの『眠れる森の美女』の魔女マレフィセントも演じておられたのですね。『名探偵ポワロ』のポワロ役ならばよく分かります! お二方とも、今まで名前は知らなくとも自然に聴いていたのだなぁと分かりました^^ 北林谷栄さんの来歴紹介で、『どん底』『かもめ』などが舞台で上演されていたと知って、すごく観てみたいと思いました。『闇の力』って聞いたことがないなぁと思って調べてみたら、はるか昔に絶版で、今やプレミア価格なのですね。トルストイは大好きで、主要作品は全部読んだと思っていたけれど、まだ未読作があったとはびっくりでした。

『長靴をはいた猫』は、わたしもカセットテープを持っていたので、懐かしい気持ちでいっぱいです。わたしが聴いていたものは、音楽や合唱も入ったオーディオドラマ仕立でした。語りと姫役は岸田今日子さんでしたね。子供の頃、母が買ってくれたオーディオドラマのカセットをよく聴いていました。『トロイの木馬』や『海の水はなぜからい』『ノアの方舟』『最後の一葉』『賢者の贈り物』などが収録されていました。うんと小さい頃はレコードも家にありましたよ。
南ノさんが思い出せない台詞、「猫を食べてしまって、その皮でマフでも作ったら、あとは飢え死にするしかない」という内容の台詞だったのではないかと思います。子供の南ノさんが、主人公を頼りないと感じたり、姫を賢そうじゃないと感じるところ、とっても面白かったです。子供って正直だなぁと^^
姫が賢いかどうかは物語からは分からないですが、彼女は自分の立場(社会的役割)に見合った選択をしたんだなと思いました。爵位(詐欺だけれど)と広い領地と立派な城を持った相手であれば、結婚相手にふさわしいですもんね。主人公が粉屋の息子という設定が絶妙だと思います。当時の粉屋は農民でありながら裕福で領主公認の特権を持っていました。そのために農村共同体の中では嫌われたり差別される立場で、たいてい村はずれに粉ひき小屋がありました。そんな生まれの主人公の立身出世ぶりは王権神話のパロディでもあるなぁと思います。

『三匹のやぎとトロール』は、「三びきのやぎのがらがらどん」という絵本でおなじみですね! 小やぎと中やぎがちゃっかりしすぎ、という子供の南ノさんのつっこみにクスッとしました^^ この童話は読者によって受け取る教訓がまったく違うように思います。自分が対処できない問題(家庭内葛藤や学校でのいじめなど)が降りかかった時は、逃げてもよい、というメッセージ。あるいは、強い者が勝つ、力こそが正義、というメッセージ。巷ではどっちの感想もよく見かけますよ。どのやぎに気持ちを重ねて読むかで、受け取る教訓が違うのかもしれないですね。
わたしはトロールは自然現象の擬人化だと思っていて(伝承のトロールは苔むした岩の姿で描かれたり、霜の巨人と同一視されることが多いので)、落石や雪崩の危険がある急こう配な渓谷を登っていく恐ろしさ(物理)を象徴しているのかなぁと感じます。そんな危ない山道を登っていく恐怖心との戦いでもあるのかなと思いました。「わたしたちの人生には多くの橋が架かっていて、その下には、いつもトロールが隠れています」という南ノさんの言葉、胸に刺さりました。本当にそのとおりですね! そう言えば、ノルウェーに「トロールの梯子」と呼ばれるドライブコースがあって、激坂で何度もヘアピンカーブを繰り返して山を登っていくんです。トロール出没注意の道路標識まであるんですよ^^ 引き続き楽しみにしていますね!

返信(1)

わあ、mikaさん、いろいろ教えて下さってありがとうございます‼
mikaさんが子供の時に聴いたという岸田今日子さんの語りと姫役、私も聴いてみたかったです~!岸田今日子さん、すばらしいですよね!(*^^*)
それから、『トロイの木馬』とか『ノアの方舟』とか、オーディオドラマで聴くと、すごい迫力でしょうね!『最後の一葉』『賢者の贈り物』は、オー・ヘンリーですね。すごく素敵なカセットだったことが伝わってきました^^
「長靴をはいた猫」では、主人公の職業が粉挽きというのが大きな意味を持っていたんですね!だから粉挽き小屋は村はずれにあるんですか、なるほど…。粉挽き小屋の三男のサクセスストーリーは、王権神話のパロディになると同時に、当時の社会的権威に対する一種のアイロニーでもあったのでしょうか。大変勉強になりました^^
それから、わたしが思い出せなかった台詞ですが、「マフ」ですか…。確かにそれなら、当時の私は意味がわからないから覚えていなかったのかもしれない、と思いました。
あと、当時の私の変なツッコミを「面白かった」と仰っていただいて、とっても嬉しいです(*^^*)
mikaさんが仰る通り、「三匹のやぎとトロール」はいろいろな解釈が成り立ちそうで、物語の構造が簡単なのにも拘らず、そういう意味では深いお話ですね!
教えていただいたノルウェーの「トロール出没注意」の道路標識のこと、面白かったです!もし自分が旅行者だったらと考えると、怖いトロールに現れてほしくないような、でも、ちょっと現れてほしいような、なんだか複雑な気分です^^
伝承が今でもしっかりと人々の生活に生きているわけで、そういうのって素晴らしいですね!
勉強になって、且つとっても楽しいコメント、本当にありがとうございます(^^)/