柴犬は月で笑う

作者 mika

[経済・金融]

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コロナショックで激変した世界。大恐慌以来のグレート・ロックダウンと呼ばれる中で、2021年5月に入ってなぜか空前のバブル状態です。過去の経済危機と現在はどう違うのか? 暗号通貨ドージコイン暴騰をめぐる狂騒、若者たちが投資ファンドに立ち向かったゲームストップ騒動などを考えながら、コロナショックの時代と向き合います。

※途中から課金になって「1分で100万円儲かる」「1万円を1億円にする」などと誘う怪しい情報商材ではありません。最後まで無料でお読みいただけます。ご安心ください。

表紙はAdobe StockからDenis Yevtekhovさまの作品を使用させていただきました。

ファンレター

柴犬は月で笑う

この作品、もし書いたのがmikaさんでなければ、たぶん読まなかったと思います。
というのは、私は経済・金融――所謂「お金」の話というのにめちゃくちゃ疎いからなんです^^;;
でも、読んでみたら、すごく面白かったです。
宝探しゲーム(?)をめぐる、御主人とのほのぼのとした遣り取りもよかったですし、数奇な「かぼすちゃん」の運命の変転は、正に「現代」を象徴する事件でもあると感じました。
「18世紀の女性投機家」のお話も、とても興味深かったです。「投機が成功すれば、性や階級や人種の不平等が覆される」というのは、思わずはっとさせられる言葉でした。投機というものにそんな一面があったなんて!正に目から鱗でした@@
一般のニュースではコロナ禍というと、すぐに「経済の停滞」みたいな言葉が出てきますが、裏では「投機バブルの熱狂にわいている」とは…。角度を換えると、全く違った世界が見えてくるんですね!しかも、あくまでモデルであって本人(本犬?)でないとは言え、最後は月まで行ってしまう「ドージ・ワン」。痛快と言うか、怖いと言うか、なんとも複雑な味わいでした^^…コロナ禍のこの時期を扱った数あるエッセイの中でも、とりわけ異彩を放つユニークな作品だと思いました!(^^)

返信(1)

南ノさん、ふだんであれば読まないであろう「お金」の話を、最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます! 「読んでみたら、すごく面白かった」と言ってもらえて、とってもうれしいです^^
保護犬だった「かぼすちゃん」が、時価総額でユニクロを超える通貨の顔になり、月探査プロジェクトのシンボルにまでなるとは、驚きですよね。人間で言えば、生まれつきの社会階級をひっくり返した、まさにカーニバルキングだと思います。
オースティンの『高慢と偏見』や『分別と多感』で、ジェントリーの生まれの娘たちが結婚に人生をかけるのは、彼女たちが実家を相続できない悲哀が背景にあります。『分別と多感』の始まりでは、夫(父)が死んだ途端、屋敷には相続人である親戚の男性が引っ越してきて、遺された母娘は家を追い出され、わずか500ポンドで生活する暮らしに転落してしまうんです。
オースティンが生きた時代は、ナポレオン戦争がもたらした金の力によって、生まれつきの階級から上に昇る人もいれば下に落ちる人もいて、階級の流動性がもたらされたと言われています。
コロナ・ショックによって、経済活動が低迷し、雇用環境や所得が悪化しているのは間違いないのですが、同時に投機バブルでもあるんですよね。しかし、この投機フィーバーが、インドの新型コロナ救援基金へ12億ドルもの寄付という結果へつながるとは、思いもよりませんでした! 日本では暗号通貨は「怪しい」とか「盗まれる」といった悪いイメージがもたれていますが、マネーロンダリングも救援基金への寄付も、暗号通貨を利用する人次第。暗号通貨そのものには、善も悪もないのだな、とあらためて感じました。
つい最近、エルサルバドルでビットコインを法定通貨にする法案が国会に提出される、と報道され、ビッグニュースでした。パナマやパラグアイ、アルゼンチン、ブラジルの政治家たちも、エルサルバドルの方針を支持するツイートをしています。あとがきでも書きましたが、やはり既存の法定通貨や銀行、国家を信用できない人々にとって、暗号通貨は必要とされているのだなと思います。