【ブックガイド】人生は、断片的なものでできている

作者 mika

[創作論・評論]

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21件のファンレター

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皆さまに、ぜひとも読んでもらいたい! と思う作品を紹介しています。
ノーベル文学賞って気になるけど、難しそう……そんな受賞作の中身もネタバレなしで解説。
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表題は『断片的なものの社会学』(岸政彦)のオマージュです。
※表紙はAdobe StockからFranzi Drawsさまの作品を使用させていただきました。

ファンレター

異邦人!

mikaさん、こんばんは。満を持しての『異邦人』ですね。
「読書メーター」の評論とはまた違う部分にもスポットが当てられ、流石だなあ、と思いました。
この「流石」は、勿論mikaさんに対してですが、『異邦人』という作品に向けても声を大にして言いたいです。
よくこの作品は「不条理」という単語を当てはめられるのですが、
どこに「不条理」を置くかは読み手次第で幾通りもあるなあ、と思うのです。
その点、同じ一人の読者でも、何度も読んで異なる不条理を感じ取ることができてしまう……
決して楽しい作業ではないのですが、向き合いたくなる。
それこそ名作なのでしょうね。
また僕も読み返そうと思います。
ありがとうございました。

返信(1)

村山さん、さっそくお読みいただき、どうもありがとうございます!
先日はパムクの『雪』を手に取っていただけて、うれしい気持ちでいっぱいです^^ 書いて良かったと報われる思いです。
村山さんの感想のつづきを読ませていただけるのを、楽しみにしていますね!

「同じ一人の読者でも、何度も読んで異なる不条理を感じ取る」ことができる、という村山さんのお言葉に深くうなずきました。それこそが、『異邦人』が名作の証左かと思います。
カメル・ダウドが『異邦人』へのあふれる思いをおさえられずに、二次創作の小説を1冊書き上げてしまったくらいですからね。発表から数十年経っているのに、まだこんなに「熱い」読者がいるって、すごいことだと思います。
(それに二次創作だからと軽んじられたりせず、同人誌ではなく、ちゃんと出版されて、賞までとってしまうというのは、フランスの文学界の懐の深さを感じます……)

そうなんです、ノーベル文学賞作家の作品は、読後がスカッと爽やかな気分になる小説は少なくて、落ち込んだり、もやもやしたりする作品が多いですよね。
正直言って、「楽しい」読書体験ではなないかもしれません。
「楽しい作業」ではないかもしれないけど、「向き合いたくなる」小説というのが、いわゆる純文学なのかなと思っています。

『ブックガイド』のノーベル文学賞シリーズ、「これは!」と思う本を追加していくつもりなので、引き続きよろしくお願いいたします。