かれの声

作者 朝陽遥

[学園・青春]

25

6,078

1件のファンレター

「おれはおれが気持ちわるい」――この春から入ったばかりの大学で知り合った男子学生・モリゴエヒビキは無口で地味で、それなのに不思議と目立つ存在だった。付き合いが悪いわけでもないのだけれど、話していると妙なところで考え込んですぐに口ごもる。変なやつだと思いながら、なんとなく目が離せなくてかまいつけているうちに、モリゴエは思いがけない事情を打ち明けはじめて……。微恋愛要素ありの青春/成長ものです。

ファンレター

微恋愛ものとしても青春ものとしても面白い。主人公が大変良い。

 ……感想とかはここに書けば良いのでしょうか。サイトに慣れていないため間違っていたらごめんなさい。

 凄く良かった。ちょい読みしてみたら文体がやたらするする入ってきて二周読んでしまいました。佐波さんの一人称、これがなんとも良かったです。絶妙に力みすぎず抜けすぎず、ふと考え込んだりわははと笑って見せたり、内心の情や思推の動きが自然で鮮やかで、素早く没入出来てしっかり楽しませてくれるというか。

 物語自体も面白くて、「言ったら従われる」系のおかしな超能力を軸にした短編ですが、その能力そのものよりはその上に生きるモリゴエと佐波の意識のかかわり方、その意識の形とテクスチャみたいなものが気持ちよく描かれていて、青春もの方向に面白さを感じます。

 モリゴエのカラオケとか、ナース服で爆笑するとか、所々に物凄くいいシーンや印象的なシーンも詰め込まれてて、短編として凄く贅沢だし、整ってるしで完成度の高さも目立った点だと思います。

 色々書きましたが、まあもうとにかく佐波とモリゴエの二人めっちゃいいな、というか。一人称の佐波に重なって読み進めるその時間が楽しかったです。

返信(0)

返信はありません