ファンレター
先日、お邪魔させていただきました桐乃と申します。
未村さま、その節はほんとうにありがとうございました。
『木曜日には、彼はいない。』をお読みくださったとのこと、恐縮です。まさか、読んでいただけるなんて。光栄です。ありがとうございます(*≧д≦)
お返事でいただいた「逆・判官贔屓」説、共感いたしました。歴史というのはあくまでも「勝者の歴史」であって、時の権力者たちに都合のよいようにねじ曲げられたりしていますよね。死人に口なし、とばかりに汚名を着せられたり。
わたしはたまたま源平の時代が好きなだけで、お恥ずかしいことに歴史や時代ものにはまったく疎いのですが、清盛と頼朝の評価はもっと上方修正されてほしい、と願わずにはいられません。あまりに不憫です。
『ダブルダブル』に出てくる登場人物たちはみんな、それぞれに重たいものを抱えていながらも、若葉のようにつやつやとみずみずしく、真夏の青空の下できらめくシュワシュワはじけるソーダ水みたいに爽やかで、とってもまぶしいです。そしてみんないい子たちで、安心して物語の世界に身をゆだねて、たゆたうことができます。みんな大好き。
巻二からの、アリアちゃんとクリストフくんのやりとりに、もうキュンキュンしまくりで、このふたり、ずっと見守っていたい、と思うほどです(*´ω`*)
そして、物語のあいまに差し挟まれるトリビアや楽屋トークも楽しくて。
「後白河くんと頼朝くんと義経くんの三角関係について」のお話、すごく納得しました。頼朝はたぶん、生まじめで義理堅いひと。義経はあきらかに、常識やぶりでフットワークの軽い猪突猛進タイプ。頼朝のストレスは半端ではなかったと思います。
義経が壇ノ浦で、怒涛の勢いで平家を滅ぼしてしまったとき、もしかすると頼朝は頭を抱えたのではないでしょうか。あの時点での頼朝の目的の比重は、平家滅亡よりも三種の神器を取り戻すほうにあったのではないかと思うのです。安徳天皇と、その母親である建礼門院は丁重に保護するようにと指示していたともいいますし。
それがかつて命を助けてくれた清盛への恩によるものかどうかはわかりませんが、同じように、かつて自分を見逃してくれた梶原景時や、清盛の義弟である頼盛に対しても、頼朝は義理を果たしています。
根がまじめな頼朝にとって、想像の遥かななめうえをヒョイヒョイ飛んでいってしまう義経は、かわいい弟であると同時に、手に負えない、かわいさ余って憎さ百倍という存在だったのかも、と考えたりしております。
カミーユちゃんの苦労がしのばれます……。
清盛も頼朝も、それぞれ棟梁であるがために、自らが鬼となって一族郎党を守ろうとしただけなのかもしれません。
ほとんどはじめましてのお手紙なのに、調子にのって長々とすみません。どうか、さらっと読み流していただけたらと思います。
未村さまのやわらかな語り口にみちびかれて、既存の枠にとらわれないのびのびとした壮大な歴史絵巻ファンタジー、奇想天外な物語の世界を堪能しております。
最新話、拝読しました。ああ、どうなっちゃうんでしょう。ハラハラ。
なんてことのないやりとりがただひたすらに貴い、というの、ありますよね。読んでいて、胸がきゅうっとなりました。いとおしくて、せつないです。ああ。
わたしもものすごく人見知りで、基本的に自分の庭に好きなものを集めてひとり遊びを楽しんでおりますが、最近は、好きな作家さんのお庭にお邪魔して、すてきな作品を拝見する楽しみを覚えてきたところです。
こちらこそ、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします(*^^*)
返信(1)
お手紙でいちばん嬉しかったのは、キャラクターがみんな好きだと言っていただいたことと、安心できると。その二つは私のとくに心がけているところなので本当に嬉しいです。「いやミス」とか、嫌なキャラやいじめを書く方はもうじゅうぶん沢山おられるので(笑)、そういう悪意を禁じ手にして書いてみようと思うんです。悲しかったり辛かったりしても、後味がいいものが書きたいです。これ、わりと挑戦なのではないかと自分ではひそかに思っているのですが……(笑)。
頼朝が頭を抱えたというお説、私も賛成です。安徳天皇を死なせたことと宝剣をなくしたことは、義経、大失敗だったとも言えるんですよね。いまの天皇家にも直接かかわってくるので「三種の神器」とは言わず剣だけの話にしてお茶を濁しているのですが(笑)、ここはどうしても書かなくちゃと思ってますので、楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです。^^ あと頼朝ほんとに義理堅いですよね。きちっと筋を通すというか。それがだんだん過剰になっていくような気がするんです。頼朝ファンを増やしたい!と思って超絶美少女という設定にしてみたんですけど(笑)、やっぱり奥州藤原氏を滅ぼしたのはどう考えても残酷すぎて……、そのあたりどう描こうか慎重に考えているところです。
アリアちゃんとクリストフくんはほんとどうなるんでしょうね。クロードくんも健在ですし。これは歴史小説ではなくてあくまでボーイミーツガールのファンタジーなので、最後はハッピーエンドにしたいんですけど、かと言って立ち往生しない弁慶は弁慶じゃない気もするし(笑)。
暖かく見守っていただけたら感謝いたします。(*^^*)