五月に売れ

作者 mika

[経済・金融]

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8件のファンレター

最近の暗号通貨をめぐる人間ドラマ、時事的な話題をご紹介する金融コラムです。
『柴犬は月で笑う』の続編となりますが、前作を未読でもそのままお読みいただけます。
※投資を推奨するものではありません。
※投資を推奨するものではありません。


表紙はAdobe StockからVectorMineさまの作品を使用させていただきました。

ファンレター

第3話 ヴィタリック・ブリテン

今回もタイムリーなエッセイでした。暗号通貨イーサリアムの生みの親が、こんな華奢な青年とは!
読みやすく知的ですっきりとした文章と、最後まで興味が途切れることのない構成はさすがmikaさんです。
ヴィタリックの複雑な背景、そして数学の非凡なエピソード、そして現在の立ち位置……そしてヴィタリックのイーサリアムにおける理想的なビジョンと現実の乖離は、まさに事実は小説より奇なりと感じました。
ロシア語ツイートの訳はmikaさんによるものでしょうか?今こそmikaさんのように、双方の文化を理解できる人材は必要であると感じています。
国境のない公正な未来か、ディストピアか、世界を変える発明は両刃の剣ですね、とても学びがありました!
(とくに訂正箇所等無ければ、返信不要です。ご自愛ください(^^))

返信(1)

佐久田さん、お忙しい中、お読みいただきありがとうございます。またわたしの体調も気遣ってくださり、感謝です。
悪い意味でロシアが注目されている今だからこそ、ロシア生まれの天才ヴィタリックについて知ってもらいたい、と思って書きました。彼の人生は、まさに「事実は小説より奇なり」と言えますね! 彼は金持ちらしくない大金持ちで、あまりにひょろひょろなので、ちゃんと食べているのか心配になります。
ロシアがウクライナに侵攻した際のヴィタリックのツイートは、とても勇気がありますよね。エッセイ中で引用したツイートとTIME誌のインタビューの日本語訳はわたしがしました。このエッセイ集は時事的な話題をご紹介するものなので、速報性が大事かなと思って、いつも英語の最新ニュース記事を参照しながら書いています。

ヴィタリックがカナダでの少年時代を「孤独と断絶」と語っていて、よほど周囲から浮いた子供だったのだろうな、と思いました。学校になじめなかったのでしょうね。そんな息子の才能を伸ばす教育をした両親がすばらしいですし、2011年の時点でビットコインを教えた父親のドミトリーさんの先見の明がすごいです。

イーサリアムは、契約を仲介する人間や企業や国家を極力排除する、という思想で作られています。AとBが契約を結ぶのに、普通は信頼できる企業とか、信頼できる人間が仲介しますよね。しかし、人間が介在するかぎり、不正や恣意的な契約不履行が起こってしまいます。そうさせないように、人間ではなく、オープンソースのプログラムを仲介役とする、という考え方です。
現段階では、金融取引の手段として用いられていますが、ヴィタリックはこのオープンなプログラムをインフラとして整備し、公正な選挙(人間が介在するかぎり不正選挙は起こってしまうので)やユニバーサル・ベーシック・インカムの運用に役立てたい、という理想を語っているのです。過剰な資本主義を批判する論者は多くいますが、批判だけでは未来に希望が持てないですよね。ヴィタリックは、世界をより良くしたい、と理想を語り、それに向かって技術開発する前向きさがありますね^^

追伸:しゃべログでご紹介したロシア語ニュースは自分の勉強のために抄訳しています。プーチン大統領の演説は、「なぜここでネオナチ? ウクライナと全く関係ないのでは?」という疑問の声をTwitterで見かけたので、試訳してみました。こちらもお読みいただき、どうもありがとうございます。