(四)-3

文字数 214文字

 アシスタントが賞に応募することはよくあることだし、たびたび耳にしたこともあった。しかし今回は初耳だった。しかも連載まで決まってしまうとは。
「あまり自信がなかったので秘密にしていたんだって」
「でもウチの仕事場は卒業なんでしょ」
 夫はちょっと残念そうに、でも同時にちょっと嬉しそうに「まあね。彼にとってはブレイクだね」と言ってビールを一口飲んだ。
 ブレイク……。そうブレイクだ。私が持っている秘密も、そうなのかもしれない。

(続く)
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