第15話  白川スーパーランド 閉幕

文字数 2,204文字

お昼が過ぎ、このテーマパーク内にある洋食のレストランに入った。
ヴィンテージをモチーフにしている内装だが、周りは僕ら似てペアルックのカップルが非常に多い。
僕らは、人気ナンバーワンのオムライスを食べ美味しさのあまりお互いに笑みを浮かべながらランチを楽しんだ。
そして、園内のアナウンスで夕方から打ち上げ花火をするという情報を聞いて、僕らはそれを見て帰ろうという運びになった。

(まだ、時間もある…乗り物2つくらいは乗れるぞ)

「このあと、どこか行きたいところある?」
僕は、澄川さんにどこに行ってみたいかを聞いた。

「んー、この面白そうな乗り物乗ってみない?」
澄川さんは、パンフレットの園内図をみて指をさした。

(これって、最後ジェットコースターの勢いでかなり水がかかるやつじゃなかったっけ?)
「澄川さんこれって…確か…」

「うん、濡れるやつだよ。わたしずっと乗ってみたかったんだよね」

(嘘だろ、澄川さん知っていて言ってたのか!濡れるの平気なのか…?)

「リョータ君、濡れるのいや?」
澄川さんは、低い視線から僕の顔を覗いた。

「いっ、いやじゃないよ」

「やった…」

僕たちは、店を出て向かいジェットコースターからビショビショに濡れて降りてくる人たちを見てお互い地獄を選んだことに後悔し、乗り物に乗った。
予想通り、僕らもビショビショに濡れて生還してきたが案外楽しかった。

「リョータ君すごい濡れてるね!」

「澄川さんほどじゃないけどね!」
澄川さんの服は、ビショビショに濡れて海で泳いできたのかと疑うくらい濡れていた。

「服どうしよっか?」
僕は、彼女のびしょ濡れの格好を気にした。

「乾かなそうだし、記念でここに売ってる服買おっかな~」

「僕も濡れてるしそうしよっかー」

濡れた服を着たまま、服を売っている店に入り周りからの視線を感じながら服を選んだ。

「この服…お揃いで着てみない?」

(えっ、僕が…澄川さんとお揃いの服を⁉カチューシャだけだと思ってたけど…服までもお揃いってもうカップル同然だよー!)

「えっ、僕と…お揃いでいーの?」

(澄川さんなんて答えるんだ…心臓の音が大きくなってく・・・)

「うん…ここに初めて来て…そのリョータ君とも初めてだし…」

(おっ、おふ…澄川さんん。それは、断れないって)

「そっ、そっかー!じゃあ、お揃いで着よう‼」

「うん!」
澄川さんは、少し飛び跳ね肩にかかる髪をふわりさせ、服を持ってレジに向かって購入してから試着室に入って着替えた。

「どう…かな・・・?」

(この澄川さんも可愛い。なんかだんだん可愛くなっててないか?)

「すごい、似合ってる!」
僕が、そういうと彼女は試着室から出て僕に「はい」と言ってお揃いの服を持たせて一緒にレジに行って購入し、試着室に促した。

(僕が着て似合うのかなー。僕のせいで、澄川さんが変な風に思われないか心配だ…)

「どっどうかな…似合ってないよね?あはは…」
僕は、似合っないのを保険にかけた。

「そんなことないよ、すごく似合ってるリョータ君かっこよく見えるよー」

(は、へっ⁉かっこいい?僕が澄川さんにかっこいいって…!)

「ありがとう」
僕は、試着室を出て彼女とお揃いの服を着ている状況になった。それを見たスタッフがこっちに向かってきた。

「そこのカップルさんたちお似合いですね!折角ですし、写真お撮りしますよ」

(カップルじゃない!少なくともカップルには見えるかもしれないけど・・・)

「リョータ君…記念で写真とってもらおうよ…」

「そうしよっか…」
澄川さんがスタッフにスマホを渡し、スタッフが合図をする

「もっと近づいてくださーい」
(もっと近づくのか!)

「はい、それではお互いに抱きしめあってー。はい、いきますよ3・2・1」
スタッフの言葉の勢いで半強制的に僕と澄川さんはぎこちながらも抱きしめあった

「や~いい写真撮れましたよ~」

「あっ、は、ありがとうございます。」
澄川さんは、照れくさそうにスマホを確認しあとで僕に送ると言った。

服を着替え写真を撮った後、隣のお土産屋により希子のお土産を買っているうちに花火の時間が迫ってきたので僕らは、再び手をつなぎ花火が打ちあがる方へ向かった。

「そろそろ始まるね!」
澄川さんが花火が打ち上がるのを待ちわびているのがすごく感じてくる

「うんそうだね」

段々時間とともに人が集まってきてた。
僕はこの時間ずっと、今日のことを聞きたかった。なんで、手をつなぎ、お揃いのカチューシャや服を着て花火を見るのかを・・・

「あの~澄川さん…」

「なに・・・?」

「今日、澄川さん僕と一緒に来て楽しかった?」

「もちろんだよ…私初めてここに来たし、リョータ君とここに来るの前から楽しみにしていたから。それに…私今日…」
澄川さんが最後に何か言おうとしたところで、花火が打ち上がり僕たちはそっちに気を取られてしまい最後の言葉を聞くことができんかった。

花火が終わり、終了時間が近づいてきたので僕らは帰ることにした。
手をつなぎ、電車を乗り継いで彼女の家までお互いまた無言のまま歩いた。

「澄川さん…今日はありがとう」

「うん…こっちこそありがとうとっても楽しかった。また行きたいね…」

「そうだね…」

話すことがなくなり沈黙が続いた…

「じゃっ、じゃもう遅いし僕帰るね!」

「うん…」

僕は後ろを振り返り歩き出したそのとき、彼女に腕をつかまれ勢いよく引っ張られ気づいたら彼女の方を向いていて僕の唇と彼女の唇が重なり合っていた。
















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