第27話 『ユーラシア動物紀行』

文字数 628文字

増田隆一
岩波新書1757
2019年1月22日 第1刷発行

筆者は動物地理学という、世界各地の動物の進化や多様性、その起源の地や渡来の経路を探る研究者である。

解約したクレジットカードで、最後にポイントで図書カードをもらった。4000円分あったが、4冊であっという間になくなった。バイカル湖やフィンランドの動物を訪れる旅は、私のために書かれたと思い、すぐ購入を決めた。

研究者の旅で、主にロシアの研究者との共同作業が多かった。動物地理学の内容は極めて専門的だが、例えばある動物の種が、大きな川を境に分化していたり、種類Aと種類Bの動物の間に、両者の特徴を持った種を発見したりする。近年では、DNA解析により、動物種間の類似性を探る研究も盛んだそうだ。

その中で、ロシアの研究者や、ロシアのシベリア鉄道の旅での一般人との交流もかけがえのないものだった。シベリア鉄道は、本来一等車を予約していたが、日本と現地の旅行会社とのミスコミュニケーションで、二等と三等になり、特に三等車では、現地の優しい人々との交流が良い思い出になった。

また、夏のシベリアの森は、破壊的な蚊やアブに噛まれまくる。対策は、ロシア人から薬を分けてもらうのが一番効果的だった。

動物地理学の研究は、日本国内だけでなく、ロシアやその隣のフィンランド、またアジアの国々とネットワークをつなぐことが必須と言う。戦争ではなく、研究や人々との温かい交流こそが、学問や友好を進歩させる。そうあって欲しいと強く思った。




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み