すきがつながるとき
文字数 1,773文字
すきという気持ちが、ふとしたときにつながると、とてもうれしくなります。
しっかり腑に落ちると言うか、ああ、やっぱり私はこれがすきなんだ……としみじみ実感すると言うか……。
もうずいぶん前になりますが、朝はFM802を聴きながら通勤していました。
802と言えばヘビーローテーションというものがあり、802がオススメする曲をひと月流しまくります。
その中で、すきだな〜と思い、CDを探したのが
東京60WATTSの『外は寒いから』でした。
調べたら2004年2月のヘビーローテーションです。
それから数年経ち、私は結婚し、子どもが生まれました。幼い息子たちがハマったアニメ『キャプテン』。野球アニメです。
夫も子どもの頃に見ていたそうですが、私はその存在も全く知りませんでした。
『キャプテン』、めちゃくちゃいいんです。
よくよく考えたら、主人公の谷口タカオくんは色んな意味で天才なのですが、それが特殊能力のように派手に輝いてストーリーが展開していく、という話ではなく。奇跡のようなことも起きますが、そこが際立たないように、地道な、地に足のついた物語になっています。魔球も出ません。とにかく、谷口タカオくんをはじめとする登場人物のキャラクターに引き込まれます。こんな説明では、『キャプテン』ファンに怒られそうです。
THE 昭和な作品ですが、今もちっとも色褪せずに、こうして平成・令和を生きる子どもたちも何度も繰り返し見る魅力があります。
原作漫画を買おうとしましたが、『キャプテン』は、中古のものでも値段が下がっていませんでした。『スラムダンク』と同じく、根強い人気があるのですね。
それで、少し値段がお安くなっていた『プレイボール』という、『キャプテン』のその後のストーリーを描いた漫画を全巻、大人買いしました。
『キャプテン』は中学野球漫画、『プレイボール』はその後の高校野球を描いた漫画です。
再放送していた『キャプテン』のアニメを見て、ダダハマりした息子と私。
その主題歌もまたいいんです。
『君はなにかができる』
『ありがとう』も渋くてよいです。
続編の『プレイボール』と『プレイボール2 nd』の再放送もあり、喜んで見ていました。
『プレイボール2 nd』のエンディングテーマもすきで、子どもたちと歌ったりしていました。
そして、よく見たらそのエンディングテーマを歌っているのは、何年も前にすきになったFM802のヘビーローテーション『外は寒いから』の東京60WATTSでした。
うれしかったです。
すきなものが、時を経て別の場所でつながりました。
なにかをすきな気持ちは、特別なものだなあと思います。
形を変えて出てきても、それとは知らずにちゃんとすきなんです。
先日は、嫌いセンサーの感度に困っている話でしたが、私のすきセンサーもちゃんと感知していました。
そして、昨年の夏、友達と毎日毎日汗だくになって野球をして遊んだ息子たちの様子が、まさに『プレイボール2 nd』のエンディングの『サマータイムブルース』にピッタリと当てはまって、私にとってはますます愛おしい曲になりました。
子どもたちが偶然見つけた野球グラウンドは、その夏の終わりに資材置き場になるために工事が始まり、閉鎖されました。
ひと夏だけ、子どもたちが思い切り野球をして楽しく遊んだグラウンド。子どもが伸び伸びと球技ができる場所があまりない昨今、どなたかの私有地であるグラウンドを自由に使えるように開放してくださっていました。
最後の日、みんなでグラウンドにお礼を言ったそうです。
転げ回って、汗だく、泥だらけになって遊んだ夏の記憶は、子どもたちの心に、なにかの形で残るのだろうなあと思います。
汗だく泥んこのTシャツを洗濯し、お昼に息子たちを水風呂に入れ、また送り出して夕方に満足してクタクタになって帰ってくるやんちゃ坊主を迎えた日々も、私の中の愛おしい記憶として刻まれています。
そこに素敵な曲も加わり、さらにはっきりとした陰影を描いています。
『サマータイムブルース』の入ったアルバム『clover』を入手しました。
『キャプテン』は、昨年(2020年)、アニメ化40周年を迎えたそうです。
漫画が発表されたのは1972年、来年五十路になる私が生まれた年です。