第6話
文字数 201文字
手には手を。
友人の手の方が、よっぽど汚かったから。
先生は、自分の手を汚してでも伝えたかったのだと思う。
そしてきっと、私たちが友人の肩をさすることを分かっていた。
「大丈夫?」
そう言いながら、私は友人の肩をさすった。
悔しそうに涙ぐむ友人の手は、固く握られていた。
拳のままでは何もできない。
肩をさすることも、手を繋ぐことも、誰かを慰めることも。
だから私は、友人の手を取り、固く握られたその拳をそっとほどいた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)