忌み嫌う匂い
文字数 1,662文字
サキュバス達の間に、なにやら、よからぬ噂が立ちはじめ、それは、あっという間に広まっていった。
とある住宅街、その近辺に、明らかにヤバイ家がある、そうサキュバスたちの間で話題になっているのだ。
各地に散っている筈のサキュバス達が、
その話を聞き、
十字路の角に隠れるようにして、その一軒家を見上げる
その家からは、
昔、
地下牢に拘束され監禁されている、体中が傷だらけの少年少女、そんな光景を見た時と同じ匂いがする。
昔居た、異世界ぐらいの文化レベルであれば、他人の敷地だろうと、屋敷内だろうと、
だが現代の人間社会、人権、プライバシー、個人情報保護等々、法整備もされ、様々な仕組みが確立された、こちらの世界では、そういう訳にはいく筈もない。
その少女をいたたまれなく思い、
家の中で起こっている出来事、それが表面化しなければ、外部の人間は立ち入ることすら出来ない。
少女本人に会って、確かめようとした
まるで死んだような目をして、ただ、黙々と歩き続けるだけだった。
今は、知らない人に話かけられたら逃げろと、子供に言って聞かせる時代だから、それは当然のことなのかもしれない。
背が高い、金髪に赤い瞳の、ただならぬ雰囲気のお姉さんという時点で、怪しい人だと思われても、仕方ないと言えば仕方ない。
不審者や、変質者ということで通報されなかっただけ、よかったのかもしれない。
そこで、