第3話 Fake camera の可能性

文字数 614文字

 Fake camera

 一体、物取りの賊というものは何を恐れているのだろうか。

 自らの行為だろうか。否、自らの行為に恥いる人間なら最初から犯行を犯すまい。

 彼等が恐れているのは、自らの悪行が世に知られることなのである。何か、ゴキブリかハサミムシのような陰湿な性質を持っている。

 そこで、彼等がいやがるのは最初によく吠える犬、そして彼等の悪事を記録するカメラである。

 監視カメラも初期費用や工事費、機材代、月額の記録代など勿論かかる。では、お金がない人はどうすればいいか。

 実は、玄関に「監視カメラ作動中」と書いて貼り付けておくだけでも「魔除け=泥棒よけ」になるのである。

 勿論、物理的にではなく、泥棒の心理的弱点を突いたものなのだが。このような張り紙の上に用済みになった壊れたハンディカムをフェイクカメラとして設置しておくと尚更良い。

 手先が器用な人なら、ダンボールやベニア板でカメラを作って置いておくのも面白いし、本物を一台契約したら後は、フェイクカメラで水増しする手もある。

 私自身、自宅周辺や職場で不可解に物がなくなる時には、この手を用いている。すると、物の紛失ということ自体がなくなる。賊が、カメラを恐れる所以だ。

 「監視カメラ作動中」は、現代のお札シーサーなのかもしれない。

 田の中に 人を見つけて 案山子かな

       (拙文)
 
 
 

 

 
 
 
 
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