第28話 ようはいじょでボクは
文字数 1,185文字
ようはいじょはね、『遥拝所 』って書くんだって。
それでね、ボクの街にもあるって園長せんせいが教えてくれたんだ。
「少しだけ遠いですわ。正確に言うとこの市と隣の市の境目です。近くに小さな川が流れていてその川には鷺 がいますのよ。そこまではバスで1時間近くかかります。一人で行けますね?」
質問だったけど、園長せんせいはボクにひとりで行きなさい、って言ったんだ。
「降ります」
手を挙げてバスから降りたら園長せんせいのおっしゃった通り川があってね。
コンクリートの川だけどそのコンクリートの壁から水が落ちてる上に鷺がね、一羽で立ってた。
それを右側に見ながらボクは遥拝所の駐車場を見つけたよ。
「砂利のところが駐車場で・・・あ、鳥居がそこで・・・」
全部園長せんせいがおっしゃった通りだね。園長せんせいも来たことがあるんだね。
歩いてるとね、笛の音が聞こえてきたよ。
かぐら、っていうのかな。その時に吹く曲の練習をしてるのかな。
遥拝所は神社の中にあるんだ。ボクがいつもお参りしている寮の近くの神社とは違う感じだね。
せんしん って書いてあるちょうずしゃ でね、園長せんせいが教えてくださったとおり左手をすすいでそれから右手をすすいで、最後に左手の平にお水を受けて唇を湿らせて・・・
ボクはおやしろ に向かってスニーカーの底をね、どうしてだかかかとを少しだけ着けてすぐに爪先に力が移るようにして歩いたんだよ。
その方が静かに歩けるからかな?
あ、それからね、左の端を歩きなさい、っていつも園長せんせいが教えてくださる通りに歩いてるよ。
(でもボクが不思議なのは徳増 幼稚園にあるのはお寺なのにどうして園長せんせいや理事長せんせいが神社のことをいっぱい教えてくれるかなんだ。『神さまも仏さまも一緒なのよ』っておっしゃるけど、神速 さまがお地蔵さまと一緒におられることがそうなのかな)
おやしろの前に着くとね、絵が見えたよ。
絵に描かれてるのは女神さま。
お日さまの、神さま。
その神さまがね、光の線を出してるんだよ。
金色の光。
きれい。
おさいせんを入れてね、鈴を鳴らして・・・鈴は大きな音を出すよ、神さまに届くように。
二回おじぎをして。
二回手を打って。
・・・・・・・・・・
最後にもう一度お辞儀をしたよ。
それでね、ようはいじょはこれからだよ。
またちょうずしゃのところに少し戻ってね。
そうしたら小さな鳥居があって、これがお伊勢さまの方に向いてるんだろうね。
文字が彫り込まれた石の碑に説明が書かれてるけど、漢字がたくさんでボクにはちょっと読めない。
ボクはまた二回おじぎをして、手を二回打って、目をつぶって・・・
最後におじぎをしたよ。
届いたのかな。
もしかしたら、神速さまが大橋に白兎 で走る時に通ったあの光のトンネルと同じようにつながってるのかな。
いつか、ボクも行けるかな。
それでね、ボクの街にもあるって園長せんせいが教えてくれたんだ。
「少しだけ遠いですわ。正確に言うとこの市と隣の市の境目です。近くに小さな川が流れていてその川には
質問だったけど、園長せんせいはボクにひとりで行きなさい、って言ったんだ。
「降ります」
手を挙げてバスから降りたら園長せんせいのおっしゃった通り川があってね。
コンクリートの川だけどそのコンクリートの壁から水が落ちてる上に鷺がね、一羽で立ってた。
それを右側に見ながらボクは遥拝所の駐車場を見つけたよ。
「砂利のところが駐車場で・・・あ、鳥居がそこで・・・」
全部園長せんせいがおっしゃった通りだね。園長せんせいも来たことがあるんだね。
歩いてるとね、笛の音が聞こえてきたよ。
かぐら、っていうのかな。その時に吹く曲の練習をしてるのかな。
遥拝所は神社の中にあるんだ。ボクがいつもお参りしている寮の近くの神社とは違う感じだね。
ボクはお
その方が静かに歩けるからかな?
あ、それからね、左の端を歩きなさい、っていつも園長せんせいが教えてくださる通りに歩いてるよ。
(でもボクが不思議なのは
おやしろの前に着くとね、絵が見えたよ。
絵に描かれてるのは女神さま。
お日さまの、神さま。
その神さまがね、光の線を出してるんだよ。
金色の光。
きれい。
おさいせんを入れてね、鈴を鳴らして・・・鈴は大きな音を出すよ、神さまに届くように。
二回おじぎをして。
二回手を打って。
・・・・・・・・・・
最後にもう一度お辞儀をしたよ。
それでね、ようはいじょはこれからだよ。
またちょうずしゃのところに少し戻ってね。
そうしたら小さな鳥居があって、これがお伊勢さまの方に向いてるんだろうね。
文字が彫り込まれた石の碑に説明が書かれてるけど、漢字がたくさんでボクにはちょっと読めない。
ボクはまた二回おじぎをして、手を二回打って、目をつぶって・・・
最後におじぎをしたよ。
届いたのかな。
もしかしたら、神速さまが大橋に
いつか、ボクも行けるかな。