第210話 猫に不可能はない
文字数 2,076文字
ボクはいま、とある動物病院の診察室にいる。
人間たちがボクの体をナデナデする。
元飼い主さんよりも触り方が優しい。
そのせいか触られて嫌な感じはしないけど、ちょっと残念なところもある……
この人たちの手とか体とか、なんだかもう室内全体に独特のニオイが
同じニオイがボクの体からもプンプンしてるし……。
窓の外側にいるボスが軽く
すると、地面からジャンプしたインテリさんがボスの
ボクは改めて人々を見つめる。
その視線に気づいたのか、人間の子どもがボクをあやすように頭をポンポンしてきた。
診察台にいるボクを観察しながら、考え込む二人。
そのやり取りを見ていたボスが、
個体の能力差を見せつけられて、
部屋の入り口から謎の声が響いてきた。
すごい迫力だ。
佇まいだけで絵になるような猫だけど、
色合いのおしゃれなシッポを左右に揺らして、室内に入ってくる。
熊介さんは手当てを受けた後、すぐ他の部屋に運ばれたと聞いた。
ひとり言なども聞こえてこないから、たぶん疲れてぐっすり寝ているんだろう。
本当に不可能はないのかも……。
そう思わされた瞬間だった。
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