告白

文字数 2,062文字

「わたし、あなたのことが好きになっちゃいました!付き合ってください!」
……?
「返事はあとでいいんで!それじゃ!」
彼女はものすごいスピードで走って行った。
―告白されたのか?僕は
「すぐ返事はするの?」
屋上のドアが開いて種村さんが歩いてきた。
「聞いてたんですか」
返事か…僕はこんな時どうすればいいのかわからない。
「彼女、クラスは一緒だけど面識はないみたい。だから普通に対応すればいいんだよ。君が悩む必要はないよ、なんかあったら私に相談すればいいしさ」
種村さんは綺麗な髪を靡かせ、優しく言った。
「はい、ありがとうございます」
            
麻里亜さんの仕事が遅くなったので、今日は琴音ちゃんを寝かしつける重役をこなし寝ることにした。


                 ◆   ◆   ◆
「翔太、私ね。あなたのことが好きみたい。だからえっと…その…付き合ってください!」

「俺もだよ、**」

ぎゅっと抱きしめた。

そこで、終了し―――

                 ◆   ◆   ◆   

「おはようございま…」
いつも麻里亜さんがいるキッチンに姿はない。その代わりかダイニングテーブルに食パンと手紙があった。
『ごめん翔太君仕事に行かなくちゃいけないから琴音のことよろしくね。詳しいことは裏に書いておくよ。ごめんね!』
裏には保育園までの地図が描かれていた。送って行けと…いうことですね。


「おにいちゃん。がっこう遅れちゃうよ~」

「やばいかも」
僕は今、自転車で上がっている。辛い、足の力が…早く着かないかなぁ、保育園。

「はぁ、はぁ…よろしくお願いします…」

「は、はい。わかりました。」
息が上がって辛い、やりきったんだ、僕は。
ふぅ…少し休憩しよ、
「おにいちゃん!学校行ってらっしゃい!」
「あ」


時刻は既に7時55分、学校は近いけど、まずい。
「よろしくお願いしますね!」
僕はそう先生に言ってから自転車に飛び乗り学校へ向かった。


                   ◆   ◆   ◆
「お、遅いぞー翔太。なんかあったの?」
伊東君がクラスに入ってきた僕に話しかけてきてくれた。伊東君の周りには友達とみられる人が数人いて、楽しく談笑している。
「ええ、ちょっと」
適当に返事をしてから席に座った。しばらくして先生が来るとロングホームルームが始まった。伊東君によると9月になるまで授業は始まらないそうだ。
「えっと…じゃあ席替えするか。新学期ということで」
担任の教師が言った言葉で伊東君は「マジかー」と小さく反応した。
「じゃあくじにするかな、えっと出席番号1番から引いてけ」
僕の出席番号は明石で1番、伊東君は3番。
「また一緒だといいな!翔太」
「はい。神に祈っときましょう」
そう言ってくじを引いた。紙を開いて見えた番号は5番窓側の席の1番後ろだ。
その席を見つめているとくじを引いた伊東君が笑顔で走ってきた。
「やった!これみろよ!4番」
4番は僕の席の前、また一緒だ。
「よーし皆引いたねそれじゃあ席動かしていいよ」
机を引きずるような音が響く。僕と伊東君は一緒に机を動かした。小学校みたいだなとふと思った。そして昨日見た夢のことも思い出してしまった。

「あ…」
僕の席の横には昨日話した女子生徒が一人…そういえば名前聞いてなかったし、種村さんは同じクラスだって言ってた。


「今日はもう終わりか、よし解散します~」
先生の適当な解散の合図でぞろぞろとクラスから生徒が出ていく
「あ、あの…えっと~」
彼女は荷物を整えたりして出て行こうとしない。ちらちらと見てくるだけで話しかけたりもしない。この空気が嫌になって僕から切り出した。
「昨日お名前聞いてなかったんですけど、今聞いても?」
「は、はい!わ、わたしは竹浦緋織(たけうらひおり)です!」
緊張しているようなので笑顔で、話しかける。
「ありがとう」
彼女は顔を真っ赤にして走って行った。明日から気まずいな、これ。
「翔太!このみと3人で飯でも…てどうした?」
「さぁ、行きましょう!」
詮索されたくなかったので強引に歩いて行った。
「うん…」
僕たちは佐藤さんが待っている自転車小屋に集合した。僕は気にしていなかったのだが自転車についている幼児椅子はかなり目立っていたようで…
「ぷっ、なんだそれ!」
伊東君は爆笑、佐藤さんも笑っていた。こればっかりはしょうがないことなのだ。

僕たちはお昼ごはんを食べて解散した。携帯を持ってないことが少し不便らしい。今の携帯電話は画面をタッチして使うものらしい。この前に『2日前から並んでます』見たいなことを言っている人がテレビに映っていたような。

「明石く~ん、こんにちは」
この話しかけ方は…種村さん!
「こんにちは、あの公園で話しませんか?少し相談がありまして」

「うん!いいよ!」
種村さんはとびきりの笑顔を見せて頷いた。
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