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文字数 416文字



あなたの匂いが染み付いた
この部屋の居心地がなんだかよくなくて
ここからの眺めも秋に薫る金木犀の香りも
割と気に入っていたけど
この街を捨てようと思いたったとある朝
荷物をまとめるのも煩わしくなって
2人で買った売れそうなものやら
無料でも欲しいっていうものは
最近始めたアコギ以外を
出来る限りリリースして
財布すら中身を抜いて捨てることにした
ついでに面倒だからと
わりと長く伸ばした髪も
びっくりするくらい切り捨てた
髪の毛ってあんなに重かったんだと
鏡の向こうの私がクスリと笑った
新しい居場所にはギターケースと私と
ほんの少しの生活雑貨が転がってる
今日から一つずつまた私の色に染まる部屋
少し狭いけど窓から見える景色と
沈みゆく太陽との関係性が
最高だったから色んなことが
どうでもよくなって
流し忘れてた涙がここぞとばかり溢れてきた
新しい明日新しい私
熱めのシャワー浴びて昨日までの
くだらないことを洗い流そう
とりあえず今日は眠ろう
疲れた身体と傷付いた心を休めるために
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