第28話 ゲルハルト王子
文字数 2,520文字
後方の警備に当たっていた親衛隊兵士がゲルハルト王子に耳打ちをした。
ダンジョン最深部に向けて出発する準備をしていたゲルハルト王子は眉をひそめた。
ダンジョン最深部に向けて出発する準備をしていたゲルハルト王子は眉をひそめた。
王子の返事を聞いた兵士は別の兵士にうなずいて見せる。
間もなく、上層階からの急を知らせる兵が連れてこられ、ゲルハルト王子に告げた。
間もなく、上層階からの急を知らせる兵が連れてこられ、ゲルハルト王子に告げた。
申し上げます。地下一階で、大規模な天井の崩落が起き、ベースキャンプの物資と守備に残した小隊は全て埋もれました。地下二階ではアンデッドが大量に出現し、出入り口の守備に当たっていた中隊が壊滅しています。アンデッドは動くもの全てを襲いながら下層階に降りてきています
兵士は片腕と頭から血を流しては息も絶え絶えの様子だ。ゲルハルト王子は伝令の兵に告げた。
報告を終えてへたり込んだ兵士を救護班が介抱し始めた。ゲルハルト王子は側近を振り返る。
シュナイダーは口ごもった。ゲルハルト王子は周囲に集まった指揮官達を見回して告げる。
上層階の異変を聞いて浮き足立っていた一同の表情は、ゲルハルト王子の言葉を聞いて引き締まった。
ゲルハルト王子の指令を聞いて指揮官達は敬礼してから各自の部隊に散った。
シュナイダーが進言したがゲルハルト王子はゆっくりと首を振った。
ヒマリアを出撃する前の作戦会議でダンジョン侵入は少数精鋭部隊で臨む方が適していると主張し続けていたシュナイダーはため息をつく。
ゲルハルト王子の警護のために大部隊の派遣を主張する一派に押し切られる形でエレファントキング討伐作戦は発動されたのだ。
ゲルハルト王子の警護のために大部隊の派遣を主張する一派に押し切られる形でエレファントキング討伐作戦は発動されたのだ。
シュナイダーは直轄の親衛隊の隊長を物陰に呼んだ。
親衛隊長はシュナイダーの言葉を聞いて心なしか青ざめた。
シュナイダーは親衛隊長の肩にポンと手を置くと、陣頭指揮のために前列に向かった。
ヒマリア軍部隊は本体が集結していた大広間から狭い通路を抜けてダンジョンの最深部と思われる空間に展開していく。
高い天井を支える巨大な石柱が林立する空洞が続き、その先には更に大きな空間があるようだった。
先頭を切っていた部隊が大空洞の中央にある祭壇にたどり着いたとき、祭壇の上からガルルルとうなり声が聞こえてきた。
兵士達が身構える間もなく頭上から猛烈な火炎が降り注ぐ。黒こげになった兵士達はばたばたと倒れていく。
ヒマリア軍部隊は本体が集結していた大広間から狭い通路を抜けてダンジョンの最深部と思われる空間に展開していく。
高い天井を支える巨大な石柱が林立する空洞が続き、その先には更に大きな空間があるようだった。
先頭を切っていた部隊が大空洞の中央にある祭壇にたどり着いたとき、祭壇の上からガルルルとうなり声が聞こえてきた。
兵士達が身構える間もなく頭上から猛烈な火炎が降り注ぐ。黒こげになった兵士達はばたばたと倒れていく。
炎のブレスの直撃を免れた兵士達は算を乱して逃げ始めた。
ゲルハルト王子は逃走してきた兵士達を引き留めながら対ドラゴン戦の精鋭部隊を呼んだ。遠征隊には強力なバネで打ち出すドラゴンランスを携えた部隊も加わっている。
ドラゴンランスを抱えて迫る兵士達にレッドドラゴンはブレスを吹いた。しかし、火炎は兵士達の前で消散した。チームの専属魔導師が魔法防御を展開しているのだ。
ドラゴンスレイヤーチームがもう少しでレッドドラゴンを射程距離に捕らえようかという時に、ドラゴンの足元からスタスタと歩いて来る人影があった。
一見人に見えるがそれは異形の魔物だった。その姿は胴体は人だが、頭部が三ッ目の象の姿だ。
像頭の獣人はてマントをひるがえしながら、両の手にすらりと大剣を抜きはなった。
ドラゴンランスを抱えて迫る兵士達にレッドドラゴンはブレスを吹いた。しかし、火炎は兵士達の前で消散した。チームの専属魔導師が魔法防御を展開しているのだ。
ドラゴンスレイヤーチームがもう少しでレッドドラゴンを射程距離に捕らえようかという時に、ドラゴンの足元からスタスタと歩いて来る人影があった。
一見人に見えるがそれは異形の魔物だった。その姿は胴体は人だが、頭部が三ッ目の象の姿だ。
像頭の獣人はてマントをひるがえしながら、両の手にすらりと大剣を抜きはなった。
誰かが叫ぶ声と同時にエレファントキングはドラゴンスレイヤーチームに襲いかかっていた。ランス隊を守ろうとしたチーム直衛の兵士達は瞬時に切り伏せられ、ランスを携えた兵士や魔導師達も次々に倒されていく。
前線の部隊の兵士がドラゴンランスに駆け寄ろうとしたが、羽ばたきして緩やかに浮上したドラゴンのブレスが兵士達を焼き払う。
兵士達は恐慌を起こして次々と逃げ始めた。
その時を待っていたように、部隊の左右の側面に三つの目を持つ象が突進してきた。
三つ目の象単独なら組織された部隊は十分対処できる。しかし、レッドドラゴンやエレファントキングの脅威に浮き足だった兵士達は突進する象の魔物に蹂躙されていく。
潮が引くように後退していく兵士達に取り残されそうになったゲルハルト王子はにわかに敗北の2文字を意識した。そしてそれは彼自身の死も意味していた。ゲルハルト王子は親衛隊の魔導師に言った。
兵士達は恐慌を起こして次々と逃げ始めた。
その時を待っていたように、部隊の左右の側面に三つの目を持つ象が突進してきた。
三つ目の象単独なら組織された部隊は十分対処できる。しかし、レッドドラゴンやエレファントキングの脅威に浮き足だった兵士達は突進する象の魔物に蹂躙されていく。
潮が引くように後退していく兵士達に取り残されそうになったゲルハルト王子はにわかに敗北の2文字を意識した。そしてそれは彼自身の死も意味していた。ゲルハルト王子は親衛隊の魔導師に言った。
魔導師が答えようとしたとき、シュナイダーはゲルハルト王子のみぞおちに拳をたたき込んでいた。
シュナイダーは意識を失って倒れようとする王子を肩に担いだ。小太りの王子は結構な重さだ。
シュナイダーは、親衛隊の隊長に告げた。
シュナイダーは意識を失って倒れようとする王子を肩に担いだ。小太りの王子は結構な重さだ。
シュナイダーは、親衛隊の隊長に告げた。
親衛隊の精鋭達は、右往左往する兵士達を蹴散らすようにして後退路を確保し始めた。