生まれてはじめて幽霊を見た

エピソード文字数 1,419文字

 生まれてはじめて幽霊を見たのは、三歳の頃だった。場所を明かすことはできないが、ある晴れた夏の日に、家族みんなで長距離ドライブを楽しんでいた。運転席に父、助手席に母が乗り、わたしと兄は、後部座席にちんと坐っていた。気持ちが悪くなるほど急カーブが続く道路で、右手にはいまにも土砂崩れしそうな山々と、左手には広大な大海原が広がっていた。悠々と空を飛び交うカモメにわたしは窓を開けて麦わら帽子を片手に手を振っていた。すると、車はいかにも古めかしい大きなトンネルの前に差し掛かった。

 薄暗いトンネルから猛スピードで出てきたのは一台の大型ダンプカーだった。
 車体があちこちボロボロに凹ませた深緑色のダンプカーだ。
 運転席に誰も人が乗っていないのに、大きなハンドルが勝手に動いている。
 これは手品か――いや、違う。
 まるで透明人間が運転しているかのように思えた。
 わたしは驚愕した!
 助手席にはわたしと同じくらいの歳の子供がスナック菓子を食べていた。
 頭と顔じゅう血まみれになりながら……
 だが、その子はケタケタ笑いながらスナック菓子を食べている。
 スナック菓子の銘柄はわからなかった。
 皮膚は死人のような灰色だった。
 透き通っていた。
 あまりの恐怖にわたしは声をだすこともできなかった。
 つぎの瞬間だった。
 ダンプカーが対向車線をはみだし、わたしたちが乗っている車に突進してきた。
 物凄いスピードだった。
「ぶつかるっ!」わたしは大声で叫んだ。
「えっ」とわたしの父と母と兄は目をまんまるにしていた。
 鳩が豆鉄砲を食らったように、
 おそらく、自分だけにしか見えていないらしい……
 わたしは子供ながらにそう思った。
 大型ダンプカーは正面衝突する寸前のところで空高く舞い上がった。
 まるで、SF映画のようだった。(この当時はまだ映画『ET』は放映されていなかった。)
 数秒後、宙に舞った大型ダンプカーは忽然と姿を消した。

 それ以来、わたしは少なくとも500回以上は幽霊に遭遇している。
 いま、現在もだ。
 500回という数字――大袈裟だなと、あなたはため息をついて嘆くかも知れない。
 だが、わたし自身は中二病ではないので、あしからず。(笑)
 ここ、三年くらい前からWEB小説を書きはじめた。
 何者かに導かれるように……
 何者かに取り憑かれたかのように……
 ヒィーッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ
 ジャンルは、もちろんホラーだ。
 わたしにとって憧れのスティーヴン・キングはじつに様々なホラー小説を書き続けた。
 彼も幼少期の頃、メイン州で様々な恐怖体験や色んな人々から恐怖にまつわるお話を聴いて、金玉が縮みあがるほど震えあがっていたらしい。
 いまでも彼は、夜寝るときにベットの掛け布団から両腕と両脚を出して寝ることができないと言っている。
「もし、真夜中にとつぜん悪魔か魔物に手首と足首をぎゅっとつかまれたらどうするんだ?」
 ホラー小説の帝王、
 大御所がそう語っている。
 その気持ちは、よくわかる気がする。
 じつは、わたしもそうなのだ。

 人一倍怖がりのくせに、怖いものが大好きだ。
 あの出来事が今の自分を作っている――きっと、間違いないと断言できる。
 親愛なる読者賢者の皆さんへ
 ホラー作家にとって、言っちゃいけない言葉を結びの言葉としよう。

「よい夢をおやすみ」

 
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