第14話:知り合い先生からの相談

文字数 1,231文字

 その先生が、夜はさみしいからと麻雀のお相手をしてくれないかと言ってきたのである。
 先生の官舎は広いから、泊まっていけば良い、というのである。最初は遠慮していたが、麻雀に誘われる日が多くなり泊まる様になった。その際、必ず、旨い酒の肴を準備して、訪問する事にしていた。それが好評だったのか、良く、お誘いがかかる様になった。

 そして数週間後、鮫島先生が、真面目な顔で、ちょっと相談にのってくれないかと言われ、話を聞いた。その内容は、この町の町長の娘さんと見合いをしないかと直接、町長に、言われたというのである。むげに断るのも何だから、会おうと思うんだけれど、どうしたら良いかな、との相談だった。そこでいくつか質問した。

 先生に今つきあってる人いるのと聞くと、別に、いないと言ってきた。町長の娘さんと会って話した事はあるのと聞くと、挨拶程度であり二人だけで話した事とはないと言うのだった。そこで、ちょっと立ち入った事を聞いて言いと問いかけた。どうぞと、先生が言うので、単刀直入に先生ここの病院の看護婦さんで、気に入った娘いるんですかとたずねた。

 彼は、いない事もないけど、なにせ、まだ来て間もないし、良くわからないからとの事だった。そこが肝心なんですよと伝えた。気に入った看護婦が、いれば仲良くすれば良いし、そうすれば、町長の娘の話も簡単に断れると伝えた。それとも町長の娘と結婚し、将来は町会、県会議員と政治家をめざす事もできる。ここの病院の院長だって夢じゃない。

 先生の考え次第で現段階では、どうにでもできると答えた。僕は政治家には向いていないし、そんな気もないとの事とだった。それなら話は早い、気に入った看護婦さんをつくればどうですか。土日休みにデートして、気に入ったら結婚する。その後、開業資金を貯めて、この町か、大都会か、開業したらとアドバイスした。

 先生が、そのアイディアの方が、良いかもしれないと言い出した。わかった、それでいくよと言うのだった。この病院は、実は東京の大学では、人気がなく、みんな来たがらないんだと言っていた。鮫島先生は、都会育ちで、むしろ、ここの自然が好きで気に入ってるとの事だった。 

 数年、ここで勤務すれば、金も貯まるし、開業資金も十分貯まると伝えた。それでいいんじゃないと私が言うと、じゃ、それで行こうと、彼は言った。この話は、くれぐれも内緒でねと言われた。もちろん他言しない事を約束した。その数ヶ月後の日曜日、新潟で鮫島先生と、仲の良い看護婦さんと食事をする事になった。挨拶をして席についた。彼女は感じの良い、はきはきした印象の明るそうな可愛い人。

 静かめな鮫島先生と、お似合いのカップルに見えた。三人で、いろいろ話をした。それによると、彼女は、スキー、テニスと、スポーツ万能で、特にスキーは、県の代表だったとの事だった。その後も、仲良くやっているようだった。その数年後、風の便りで結婚して、病院の近くで医院を開業した様だった。 
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