第1話

文字数 483文字

わたしが涙した。

ある男は、不吉の前触れだと恐れた。

わたしが涙した。

ある女は、輝く美貌もいつか消えてしまうと悲しんだ。

わたしは涙した。

なんども、なんども。

でも、わたしはすぐに泣き止んだ。

なんども、なんども。

わたしの涙は一瞬だ。
けれどわたしが涙を流すたびに、世界が変わった。

それがひとにとっていいことかどうかはわからない。

別にどーでもよかった。
見ているひとがいるか、いないかなんて。

わたしは泣きたい時に涙を流した。

別にどーでもよかった。
世界が変わったって、変わらなくたって。

でも・・・

わたしは少し願った。

「わたしの涙がひとにとって幸せを運ぶものであってほしい」と。

世界は変わった。

わたしの望んだ世界へ。



わたしは涙を流した。

ある男の子は笑顔が溢れる世界を願った。

わたしは涙を流した。

ある女の子は悲しみのない世界を願った。



どーしよっかな。


わたしは涙を流した。

みんなの願いが叶うように。

わたしは涙を流した。

あしたはいい日になりますように。

おやすみ、いとしいひと。

おやすみ、みんな。

わたしは今日も涙する。

わたしは明日も涙する。

ずーっと、ずーっと。

みんなが幸せになる、その日まで。




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