6 ✿ 迷子の魔女

文字数 844文字

監禁されていた場所から、逃げ出したマリーだったが。
ここはどこ? 

どこの国なのです?

大通りへ姿をさらしたら、あの悪党どもに見つかってしまうかもしれませんし……

裏道を選んで移動したので、情報が得られないのだ。

アジアということは分かりますが。

英語のような中国語のような……?

道ばたの人に何度も訊ねようとしたが、シングリッシュの癖が強く、聞き取れない。


立ち話している間もなく、駆けるような足音が聞こえただけで「追っ手か」と警戒し、逃げるばかりだ。

ここはチャイナ?

チャイナなんですか!?

マリーは独り言をつぶやきながら、頭を抱えうずくまる。

ああ……すっかり暗くなってしまいました。

ここまで来れば、もう追ってこない…ですよね?

時刻は午後7時。

マリーがいるのは、シンガポール川の岸沿いで、

ボート・キーというレストラン通りの裏道だ。

うっ!! 

なんですか、この臭い。

は、鼻が曲がりそうです……

店の裏手の大きなゴミ箱から臭っていた。
なぜこんな場所でコソコソせねばならんのです!?

あの男の鼻に絵具を2本もさしたりしたから、天罰でしょうか

ちょっとやりすぎたな、と思っていた。
ま。あれくらいやらないと、ですね
マリーは罪悪感を捨てた。
チュー、チュゥー……
ひっ、ネズミ!?

ハッ。お金!


私のですよっ。シッシッ

お札のそばにいたネズミを追いはらい、お札を握りしめる。

SINGAPORE……シンガポールドル


ここはシンガポールなのですね!

おお、神よ!!

マリーは嬉しそうにお札をかかげた。

でも、たったの二ドル。

これでなにを買えってんですかぁ!

水ですか!?

だがマリーは、そっ…とお金をポケットにしまった。

追っ手も来ませんし、もう一度助けを求めてみましょう

ミックスジュースのような英語ですが、きっと癖が強いだけなのです。


通じれば、シンガポール警察に保護を願えます……

とぼとぼ…と暗い路地から出てきて、辺りをきょろきょろしながら歩いていると。

Hey!!

突然背後から怒号がかかり、マリーはびくりと肩をはねあげた。
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登場人物紹介

帯刀 咲良  (たてわき・さら)


 高校2年生、剣術道場の娘。

ジョン・リンデン


イギリス人

インターポールの捜査官。

天羽 理々(あもう・りり)


高校2年生、咲良の親友

合気道部

ラルフ・ローゼンクランツ


ドイツ人

インターポールの捜査官。

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