第一話 誓いの言葉

文字数 700文字

ふぅ〜

やっと捕まえた


せっかく彼女の家に

招待されたっていうのに

その彼女の猫が

脱走? 家出?

とにかく居なくなったそうだ


それで

訪問の前に

こうして探していた訳だが

意外と簡単に見つかって

よかった

そこの

あなた

ニャー
おお

可愛い……


そうじゃない

君だよ

えっ

僕ですか……


何の御用でしょうか

君の抱えている

その猫のことだが

これが

どうかしましたか

それは君の猫かね?
いいえ

違いますけど

なるほど

やはりそうだったか


悪いことは言わんから

今からでも遅くはない


すぐにその猫を

飼い主のところに

戻すんだ


今すぐに!

そのつもりですが……

そうじゃない


いくら出来心とはいえ

人様から盗みを働いておいて

返せば良い

と言うものでもあるまい


ましてそれは生き物

私には可愛らしい猫にしか

見えないが

飼い主にとっては

家族も同然


となれば誘拐となり

重罪なのだ


わかるかね

君!

すみません

つい魔が差してしまって……?


違いますよ

僕はただ迷子の猫を

見つけただけです

言い訳は無用


戯れ言は警察に行ってから

好きなだけ言えばいい


さあ

行こう

観念しないか

待ってください


僕は

行方不明になっていた

この猫を

たまたま見つけたので

今から飼い主のところに

届ける途中なんです


信じてください

そのようには

見えないが……


見えないが……


まあ良かろう


その猫の

可愛らしさに免じて

これは不問としよう

ありがとうございます
勘違いするでない


飽く迄その猫に免じてだ


決して君を信用した

わけではないからな


それに

いざとなれば

君の手元から逃げ出すなど

その猫にとっては

造作も無いこと


くれぐれもそのことを

肝に命じておくのだぞ


よいか?

天地神明に誓って

心いたします

うむ

ではこのまま真っ直ぐ

飼い主の元に馳せ参じるのだ

はっはあああぁぁぁ御意


……?

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登場人物紹介

主人公

迷い猫

執事風

メイド風

彼女

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