Beats Knockin【6/6】

文字数 588文字





 今回のオチ。

 急遽つくらせた、幹を納めたお堂で鏑木盛夏が護摩をたいたところ、吉野ヶ里咲もお柳さんも、健康体に戻ったのである。
 土蜘蛛とは関係なく、〈魔性〉は、普通に帝都にも紛れ込んで生活している、ということがわかった一件だった。


 むしろ、気になったのは、吉野ヶ里と朽葉コノコもまた、知り合いであった、ということである。
 お嬢様学校だから知り合いであってもおかしくないだろう、とは、〈思わなかった〉わたしは、正しかった。


 だけど、コノコと咲の関係性のお話は、今回とはまた別件である。




 盛夏に言われ、わたしは図書館で古書を漁った。

 疲れながら、
「ウィスキーが飲みたいー」
 と、帰宅後、下宿でぐだったところ、貫通している穴から顔を覗かせた隣の部屋の鴉坂つばめちゃんに、
「あんたは壁の修復のこと、考えなさいよ!」
 と怒鳴られたのだった。

「修復魔術とやらは?」
 と、わたしは聞いてみた。

「普通に直せって、やくしまるななおに凄まれたわよぉー!」
 つばめちゃんは叫び、筆記用具などを空いた穴からわたしの部屋に飛ばす。

「壁の修復かぁ。ふふん。このわたし、壊色お姉さんの日曜大工の腕が鳴るわね」
 と胸を張ると、
「ウザ! 壊色、ウザ過ぎッッッ!」
 と、さらに叫ぶつばめちゃんなのだった。


 ああ、もう。



〈了〉
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登場人物紹介

鏑木盛夏(かぶらぎせいか):退魔士。私塾・鏑木水館塾長。

夢野壊色(ゆめのえじき):十王堂高等女学校〈用務員先生〉。下宿、西山荘に住む。旅人。

雛見風花(ひなみふうか):鏑木邸に住む、盛夏の小さな恋人。

長良川鵜飼(ながらがわうかい):私塾・長良川江館の息女。壊色に同行し旅をしていた。

苺屋かぷりこ(いちごやかぷりこ):カフェー〈苺屋キッチン〉の女給。

朽葉コノコ(くちはこのこ):元気いっぱいの女の子。

佐原メダカ(さはらめだか):ドジっ子。コノコを「姉さん」と呼ぶ。

空美野涙子(そらみのるいこ):空美野財閥の一人娘。ガラが悪い。

魚取漁子(うおとりりょうこ):タイピスト。

やくしまるななお:下宿・西山荘の管理人。

やくしまるななみ:下宿・西山荘の管理人、やくしまるななおの妹。

近江キアラ(おうみきあら):長良川江館の塾生。

金糸雀ラピス(かなりあらぴす):ラズリの妹。保健室登校。にゃーにゃーうるさい。

金糸雀ラズリ(かなりあらずり):ラピスの姉。風紀委員会委員長。涙子が好き。

園田乙女(そのだおとめ):黎明署の刑事。ヨーヨーを武器にする。

白梅春葉(しらうめはるは):殺人鬼。十羅刹女の能力を持つ。

鴉坂つばめ(からすざかつばめ):〈魔法少女結社・八咫烏〉のメンバー。

御陵初命(みささぎはつめ):十王堂高等女学校の生徒会長。

武久現(たけひさうつつ):絵葉書屋。電脳ゲームデザイナー。

獅子戸雨樋(ししどあまどい):編集者。

吉野ヶ里咲(よしのがりさき):政治結社〈黎明派〉の首領。

大杉幸(おおすぎさち):無政府主義者の首領。

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