温泉旅行①

文字数 2,112文字

ゆー君、一緒に帰ろう!
おう、アイちゃん
ふふ。相変わらず仲がいいね、キミらは
べ、別にそんなことねーよ……
えへへー。だって、ゆー君にはプロポーズされてますから♪
ちょ!? いやいや、それ幼稚園の頃の話じゃねーか! なんで覚えてるんだよ!?
でも、ゆー君だって、覚えてたでしょ?
ぐっ……あれは若気の至りであってだな

……もう無効だよ無効!

えー? そうなの?
そ、そうだよ!
ふふ。いいね幼馴染って。羨ましいよ
でもさ、最近はゆー君、藤君とばっか遊んでるよね?

いいなーずるいなー

え、そうかな
あーもう、なんでもいいから、さっさと帰ろうぜ

今日は宿題沢山出たから早く帰らないと

あ、じゃあさ、三人で勉強会しよーよ!
いいね、それ
お、そんじゃ藤の家行こうぜ!

スマブラやりてぇ!

え、藤君、スマブラ持ってるの? ウィーのやつ?
そうだけど……あくまで勉強が最優先だぞ?
はーい
はーい
思えば、あの時からだ

俺らが「3人」でよくつるむようになったのは……

そして、藤とアイちゃんの距離はどんどん縮まっていった……
なあ、今日は久しぶりに藤んちでスマブラやらねーか?
あ、ごめーん、わたし今日は用事あるんだぁ
俺も、今日は塾だから……
お、おうそうか。そりゃ残念。

んじゃ、また明日!

ばいばーい、ゆー君
また、今度やろう
やめろ
はあ。最近、あいつら妙に付き合いが悪いなぁ……

まっすぐ帰ってもつまんねーし、ゲーセンあたりをブラブラしてくかぁ

やめてくれ
あー楽しかった。少しは気が晴れたぜ

それじゃ、帰るとすっか

……あれ?

見るな。気づくな。そのまま、帰れ
なんだよ、藤じゃねーか

塾じゃなかったのかよ?

……!!


ゆ、ユウ……

お待たせ、ふー君

ごめんね、トイレ混んでて……

アイちゃん!?


……な、なんだよ。どういうことだよ

(ふー君だって??)

…………ああ


どうしよぉ、ふー君……

大丈夫だよアイ

俺が話すから


あのさ、ユウ。実は俺たち、少し前から……

テるンダ
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!
びくっ
びくっ
びくっ
はあ……はあ……はあ……
あれ? ここは……
「ここは……」じゃねぇよボケ

先輩が運転してる横で豪快にいびきかいた挙句、絶叫とか……

俺がもし体育会系の人間だったら、降ろされても仕方がない行為だぞ

あー…………サーセンw
くそが
ま、まあまあ安藤さん。きっと唐須くん、悪夢でも見ちゃったんですよ。ね?
そっすね……サキュバスに襲われる夢を
サキュバス? なにそれ、妖怪?
もー、唐須くん、下ネタはほどほどにしてよ?

今日は外部からも人来るんだから

(下ネタなんだ……)
ごめんなさい
女子には素直だな、この野郎
(なんで今更、あんな昔のことが夢に……?)
水戸達は今、登別の温泉旅館に向かっている。

メンバーは以下の通り

・安藤車:安藤、唐須、水戸、内藤

・春子車:春子、日野、月野

・出水車:出水、小路、馬尻

※安藤、春子は親の車。出水はレンタカー

お、グーグルマップによると、あと5分ほどで着くって
いやぁ、それにしても、男女で温泉だなんて、『リア充』の極みじゃないですか? 水戸先輩
あのさ内藤、イマドキは『リア充』なんて言葉、誰も使わないらしいぞ
いやそれ、私が教えてあげたんですけど
そうだっけ?


まあ、合コンも夏フェスも経験済みの私だし? 今更、温泉旅行くらいで舞い上がったりはしないかなぁ

男性(安藤)とさし飲みも経験しましたしね?
え! な、なんで知ってるの?
え? 私が話したんだけど、普通に……だめだった?
あ、いや、全然、別に
大学始まってから、お二人の距離感がちょっと違ってたんで、驚きましたよー
マジすか。やるなぁ、安藤さん

(ようやく『安藤さんハーレム計画』が現実的に……)

(現実的に……)

(……)

(やっぱ、俺のこの性癖って、『アイちゃんの件』が原因なんだろうなぁ。夢のせいで久々に思い出したわ)
さ、さあ着いたぞ

お、手を振ってる集団がいるな。彼らかな?

ああ、やっぱそうだ。日野さんがいる

私らが最後かな? ええと、人数は、1、2、3……あれ?

どうした?
いや、1人、知らない女性がいるなぁ、と
え?……あ、ほんとだ、あの眼鏡かけた人


それと、小路さんがいない?

いやぁ、どうもどうも
あ、どうも初めまして。すみません、一番近いのに最後になってしまって
いやいや、遠いと時間が読めないから、逆に早く着いちゃうんですよね

ああっと、人数も人数なんで、自己紹介はあとでゆっくりとしましょうか

そうですね。とりあえずチェックインしちゃいましょう
(安藤さん、こういう時は意外と物怖じしないタイプなんだ……)
……
あの、ナツさん。自己紹介は後でイイですけど、ええと、そちらの方は……
おっと悪い! そうだったな


……彼女は小路さんの代理だ

小路さん、来られないんですか?
うん……ちょっと仕事でやらかしちゃって、さ

今はその対応に追われてる

えぇー……てか、ナツさん上司でしょ? こんなとこに来てていいんですか?
俺がやれることはやったよ

今はもう、彼に任せるしかない段階だ

そ、そうなんだ
うん。てなわけで、急きょ、彼女に来てもらった

彼女はうちの会社の事務をやってて……

根古谷亜衣(ねこやあい)でーす

よろしくね

!?
うそ……だろ……?
はい?

……

……あれ

……ひょっとして

ゆー君!?
アイ……ちゃん
つづく
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登場人物紹介

水戸洋子。とある大学の先輩。自称、孤高の女。B’zはよく知らない。

内藤恵。とある大学の後輩。明るいのが取り柄。B'zが好き。

稲葉浩志。とあるユニットのボーカル。歌が上手い。

日野三角(でるた)。内藤の同期生。基本、無表情。

安藤野雲。水戸の同期生。傍観者でいたい。

唐須雄飛。内藤の同期生。安藤の千倍キモイ。

出水夏太郎。妹のアレっぷりにいつも苦労している。

出水春子。明るいバカ。

月野兎。イケメン。

小路三郎。変人。

馬尻救世。極度の人見知り。

フェス姉さん。それ以上でもそれ以下でもない。

油井小和(ゆいこより)。水戸の中学時代の友人。態度がでかい。

TAK松本。とあるユニットのギター。作曲には自信がある

根古谷亜衣(ねこやあい)。唐須の幼馴染。

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