第34話 ナツとフユの初めてのお外1
文字数 1,046文字
ここはとある山の中。今日も日本家屋の縁側でお茶をすするアキに、ナツとフユは何かを言っています。
「ごしゅじん」
「ごしゅじん」
「なぁに?」
「おそと でたい」
「おそと、おそと」
「ここはお外だよぉ」
「ちがうの」
「やまの おそと でたい」
そこへ家の奥からハルが漬物を持って近づいてきました。
「お前たち、外の世界がどれだけ不浄なところかご存知ですか?」
「しりません」
「ふじょう?」
「そう、外の世界は不浄な空気が渦巻く汚い世界でございます」
「うわぁ、ばっち!」
「ばっち!」
「ハル、ナツ、フユ、たくあん一本丸ごと食べ……」
ハルとナツとフユは、大根の漬物を口いっぱいに頬張りました。ゴリゴリといい音を立てています。
「……ですが、まだ外の世界を見たことがない二人 です。学のために連れて行って差し上げてもよろしいですよ」
二人の目が輝き始めました。
「ただし、私の言うとおりになさい。でなければすぐにこちらに帰ります。よろしいですね?」
二人は大きな声で返事をして、今の感情を体で表現しました。そしてハル、ナツ、フユは早々に身支度をしました。
「ではご主人、行って参ります」
「気をつけてね」
「はい」
「はい!」
「はい!」
着慣れない洋服に身を包み、履き慣れない靴を履いて三人は獣道へと消えて行きました。
獣道を抜けると、大きなトンネルへと入って行きます。トンネルの中は常にロウソクで灯されており、消えることはありません。
「ハルさま、なんか ふよふよ してます」
「ちいさい ひかりが ふわふわ うごいてます」
「これは精霊です。いつも行き来する者を見極めているのです」
「なぜですか?」
「なぜですか?」
「この土に覆われた道は、精霊の働きによって長くなったり短くなったりします。ここに来るべきでない者はこの道が長くなりますし、来るべき者はこの道が短くなります」
「う〜ん」
「わかりません」
「ふふ、そのうち分かります」
そのトンネルをしばらく歩くと、階段が見えてきました。ナツとフユはその階段を走って登りました。階段を登りきると木で出来た格子扉があり、その先が外の世界です。
ハルは扉をゆっくりと開けました。そこは神社の神殿です。
「あれ?よる?」
「ハルさま、くらいです」
「ご主人がいる世界が昼ならば、ここの世界は夜です。ちなみに、ご主人がいる世界へはどこの神社とも繋がっているのでご安心ください」
「ふしぎ!」
「ふしぎ!」
「さて、どちらへ参りましょう?」
三人は神殿を出て、人がいないことを確認して神社を後にしました。
「ごしゅじん」
「ごしゅじん」
「なぁに?」
「おそと でたい」
「おそと、おそと」
「ここはお外だよぉ」
「ちがうの」
「やまの おそと でたい」
そこへ家の奥からハルが漬物を持って近づいてきました。
「お前たち、外の世界がどれだけ不浄なところかご存知ですか?」
「しりません」
「ふじょう?」
「そう、外の世界は不浄な空気が渦巻く汚い世界でございます」
「うわぁ、ばっち!」
「ばっち!」
「ハル、ナツ、フユ、たくあん一本丸ごと食べ……」
ハルとナツとフユは、大根の漬物を口いっぱいに頬張りました。ゴリゴリといい音を立てています。
「……ですが、まだ外の世界を見たことがない
二人の目が輝き始めました。
「ただし、私の言うとおりになさい。でなければすぐにこちらに帰ります。よろしいですね?」
二人は大きな声で返事をして、今の感情を体で表現しました。そしてハル、ナツ、フユは早々に身支度をしました。
「ではご主人、行って参ります」
「気をつけてね」
「はい」
「はい!」
「はい!」
着慣れない洋服に身を包み、履き慣れない靴を履いて三人は獣道へと消えて行きました。
獣道を抜けると、大きなトンネルへと入って行きます。トンネルの中は常にロウソクで灯されており、消えることはありません。
「ハルさま、なんか ふよふよ してます」
「ちいさい ひかりが ふわふわ うごいてます」
「これは精霊です。いつも行き来する者を見極めているのです」
「なぜですか?」
「なぜですか?」
「この土に覆われた道は、精霊の働きによって長くなったり短くなったりします。ここに来るべきでない者はこの道が長くなりますし、来るべき者はこの道が短くなります」
「う〜ん」
「わかりません」
「ふふ、そのうち分かります」
そのトンネルをしばらく歩くと、階段が見えてきました。ナツとフユはその階段を走って登りました。階段を登りきると木で出来た格子扉があり、その先が外の世界です。
ハルは扉をゆっくりと開けました。そこは神社の神殿です。
「あれ?よる?」
「ハルさま、くらいです」
「ご主人がいる世界が昼ならば、ここの世界は夜です。ちなみに、ご主人がいる世界へはどこの神社とも繋がっているのでご安心ください」
「ふしぎ!」
「ふしぎ!」
「さて、どちらへ参りましょう?」
三人は神殿を出て、人がいないことを確認して神社を後にしました。