(7)

文字数 505文字

 さあ、それからが、おおさわぎです。
「なんだって?」「なんですって?」
 森じゅうの動物たちがかけつけてきて、かわるがわる、くじゃくの王さまをあたためました。
 くまは、ねむい目をこすりながら、みつばちは、ふるえながら、やぎは、ぶつぶつもんくをいいながらやってきて、ほかほかのはちみつミルクをつくりました。つまり、やぎのミルクに、みつばちがみつを入れ、くまがおなべをかきまぜた、というわけです。

「ねえ、お天気予報は、どうなるの?」
 きらきら光る小さなとかげが、そっとききました。
「なにをいうんだ。お天気予報なんて、どうでもいいじゃないか」
 ふくろうが、気むずかしい顔で、首をくるりとひねっていいました。
「とにかく、王さまが元気になってくださらないことには、わしらも元気が出ないよ」
 みんなもうなずきました。

 そう、みんなにとって、毎日、王さまのすがたを見ることは、
 あまりにあたりまえのことでした。
 あたりまえ、ということは、つまり、この上なく大切、ということでした。
 丘を見上げれば、王さまは、いつもそこにいてくれました。王さまがいなくなってしまうなんて、だれも、かんがえたこともなかったのです。

 そのときです。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み